旭硝子は,2008年8月8日から始まる北京五輪のメインスタジアム「国家体育場」の屋根と水泳会場「国家遊泳中心」に,同社のフッ素樹脂(ETFE)フィルムが採用されたと発表した。同フィルムが使用される面積は,国家体育場が約5万m2,国家遊泳中心が約30万m2で,同社は既に供給を開始している。

 採用された高機能フッ素樹脂フィルムは,同社が原料から一貫生産している「Fluon ETFEフィルム」(日本では「アフレックス」)。耐熱性/耐薬品性/電気特性などさまざまな特徴を持つが,今回は特に(1)透明で光を十分に透過する(2)軽いため構造への負担が小さい(3)劣化しにくく寿命が長い(4)曲線的な加工が可能で意匠性に優れる---といった点がポイントになった。加えて,メインスタジアムの場合はフィルム表面に印刷することで光や熱を制御しながら意匠性を高められることが,水泳会場の場合には水色に着色したフィルムを採用することで意匠面のさまざまな工夫が凝らせることが評価された。

 この高機能フッ素樹脂フィルムは,最近ではドイツ・ミュンヘン市のサッカースタジアム「Allianz-Arena」に使われるなど,特に欧州を中心に建築材料としての用途が増加しているという。