テレビ向けのアダプタ「LF-BOX1」(写真右端の黒い箱)
テレビ向けのアダプタ「LF-BOX1」(写真右端の黒い箱)
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無線LANのクライアントになることで,ベースステーションの設置場所の自由度が増した
無線LANのクライアントになることで,ベースステーションの設置場所の自由度が増した
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MPEG-4とMPEG-4 AVC(H.264)の画像を比較した。同じ200kビット/秒でも,画質の違いは歴然だった
MPEG-4とMPEG-4 AVC(H.264)の画像を比較した。同じ200kビット/秒でも,画質の違いは歴然だった
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ソニー創業者の一人である盛田昭夫氏の手書きの手紙を持参した前田悟氏。前田氏が,静止画伝送システムを開発した際,盛田氏が米国の百貨店J.C. Penny社のトップに同システムを使って送信したものだ。この手紙をきっかけにJ.C.Penny社をたずねることになった。前田氏はこの手紙をオフィスに飾り,技術や企画だけでなくマーケティングも重要であることを肝に銘じているのだという
ソニー創業者の一人である盛田昭夫氏の手書きの手紙を持参した前田悟氏。前田氏が,静止画伝送システムを開発した際,盛田氏が米国の百貨店J.C. Penny社のトップに同システムを使って送信したものだ。この手紙をきっかけにJ.C.Penny社をたずねることになった。前田氏はこの手紙をオフィスに飾り,技術や企画だけでなくマーケティングも重要であることを肝に銘じているのだという
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 ソニーは2006年9月6日,ネットワークを利用したテレビ視聴システム「ロケーションフリー(ロケフリ)」の新製品を発表した。今回発表したのは,新型のベース・ステーション「LF-PK20」,テレビ向けのアダプタ「LF-BOX1」,パソコン向けソフトウエア「LFA-PC20」の3製品である。

 ロケフリを開発した同社テレビ・ビデオ事業本部 LFX事業室 事業室長の前田悟氏が「今回の目玉」としたのが,ベース・ステーションと組み合わせて使うテレビ向けアダプタである。これを使えば,テレビのアンテナ端子のない部屋でもベース・ステーションおよび無線LAN経由でテレビ番組を視聴できる。販売を担当するソニーマーケティング ディスプレイマーケティング部 統括部長の田中良則氏は,ソニーによる調査結果を示しながら「外出先ではなく,家の中でロケフリを使用したい」という要求に応えたとした。発表会場の説明員によると,海外の駐在員などからは「パソコンではなくテレビで日本の番組を見たい」という要求も多いという。この場合,日本の留守宅などにベース・ステーションを置き,インターネット経由でテレビ映像を転送することになる。

 自宅での視聴場面を広げるため,ベース・ステーションに無線LANのクライアント機能を加え,家庭に既にある無線LANルーターの子機としても利用できるようにした。これにより,ベース・ステーションを配置する場所の自由度が増す。必ずしも,無線LANルーターの近くにおく必要がない。

従来の機種は無線LANのアクセス・ポイント機能だけを備えていたため,インターネット接続用のルーターとの間はケーブルでつなぎ,テレビを視聴するパソコンなどとは無線LAN経由でつなぐ構成になっていた。この場合,電話やCATVの配線口の近くにベース・ステーションを置くか,長いケーブルを配線する必要があった。これは,最近になって家庭における無線LANの利用比率が増えてきたことに対応したものだ。

 今回新たに加えた機能の一つが,MPEG-4 AVC(H.264)を用いた符号化への対応である。ソニーの前田氏は「個人差があるが」と前置きした上で,「H.264への対応により200k~250kビット/秒の帯域が確保できれば視聴に耐えられる映像を配信できそうだとした」。従来のMPEG-4では400kビット/秒が目安としていた。