図1 キヤノンが発表したデジタル一眼レフ・カメラ
図1 キヤノンが発表したデジタル一眼レフ・カメラ
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 キヤノンは,レンズ交換式デジタル一眼レフ・カメラ「EOS Kiss Digital X」を9月8日に発売すると発表した(図1)。同社のエントリー機としては初となる有効画素数が約1010万画素のCMOSセンサを搭載した。CMOSセンサの外形寸法は22.2mm×14.8mmで内製したもの。価格はオープンだが,想定市場価格はレンズなしで9万円前後,標準レンズ付きで11万円前後とする。2006年9月~12月における国内デジタル一眼レフ・カメラ市場におけるシェアを,今回の一機種で45%獲得する考えである。

 EOS Kiss Digital Xでは,新しく撮像素子に付くゴミ対策を施した。「(ゴミを)出さない,付けない,残さない」をキーワードに開発に開発を進めてきたという。ローパス・フィルタを振動させてゴミを振り落とす「セルフクリーニングセンサーユニット」を用意したり,ゴミが付着しないようにローパス・フィルタに帯電防止機構を採用したりした。

 具体的には圧電素子を使ってローパス・フィルタを振動させて,超音波でゴミを落とす。セルフクリーニングセンサーユニットはカメラの電源を入れた時や切った時に作動する。クリーニングに要する時間は約1秒である。また,ローパス・フィルタの接地させることで帯電を防ぎ,ゴミが付着しにくいようにした。これらの工夫によっても除去しきれないゴミについては,アプリケーション・ソフトウエアの画像処理で対応する。画像中のゴミが映りこんだ個所を検出し,補正する。

 キヤノンは今回の新製品投入によって,コンパクト機ユーザーの取り込みを狙うという。同社がファミリー層向けに2005年に投入した「EOS Kiss Digital N」を購入したユーザーに対して調査を行ったところ,購入者の約半数がコンパクト機からの買い替えだったとする。ソニーや松下電器産業などがデジタル一眼レフ・カメラ市場へ参入していることもあり,今後デジタル一眼レフ・カメラ市場が2010年までに100万台に拡大すると見る。

強気な販売姿勢

 記者会見のプレゼンテーションでは強気な発言が多かった。
 「今回のKiss Digital Xは名機と呼ばれるようになると信じている」。
 「2010年ころには,銀塩一眼レフ機のピークだった年間100万台という国内販売台数をデジタル一眼レフ機で実現したい。そこに至る期間における,銀塩機から一眼レフを手掛けてきた我々と,ソニーや松下電器産業という新規参入組との競争は大歓迎」。
 「当社は2010年時点に過半の国内シェアを保持したい。歴代のKissはクルマでいえばカローラのような国民的な機種。発売月から6カ月の実績で見ると,常に国内トップ・シェアを獲得してきた」といった具合である。