図1◎「VGCF」の形状。透過電子顕微鏡(TEM)断面写真(左)と走査電子顕微鏡(SEN)写真(右)
図1◎「VGCF」の形状。透過電子顕微鏡(TEM)断面写真(左)と走査電子顕微鏡(SEN)写真(右)
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図2◎リチウムイオン電池負極に「VGCF」を添加したときのサイクル寿命性能
図2◎リチウムイオン電池負極に「VGCF」を添加したときのサイクル寿命性能
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図3◎リチウムイオン電池負極内の「VGCF」のSEM写真
図3◎リチウムイオン電池負極内の「VGCF」のSEM写真
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 昭和電工は,リチウムイオン電池の添加材などに利用されるカーボン・ナノファイバー「VGCF(気相法炭素繊維)」の生産能力を増強すると発表した。2006年下期に着工し,生産能力は現在の年間40tから2007年度には同100tに向上する。

 VGCFは直径約150nm×長さ約10μmで,チューブ構造を持つ。これを導電助剤としてリチウムイオン電池の電極部に少量添加すると,(1)充・放電の繰り返しによる電気保持容量の低下を抑制し,電池が長持ちする(2)電極の導電性が向上し電池電流量が増加するため,大電流放電を必要とする電気製品に使用できる──といった機能を発揮する。こうしたことから,ノートパソコンや携帯電話機をはじめモバイル機器を中心に高成長が続くリチウムイオン電池向けに,VGCFのフル生産が続いていた。

 新プラントでは,樹脂や金属,セラミックスへの添加用途向けに開発した直径約100nmの新グレード「VGCF-S」の生産も予定しているという。このカーボン・ナノファイバを添加した複合材料は高い導電性/熱伝導性/電磁気遮蔽性といった特徴を持ち,静電気を嫌う電子部材キャリアケースなどの用途が見込まれる。