ソフトバンクのグループ会社でオンライン・コンテンツ事業を営むイレブンアップは2006年8月1日,「Gプラネット構想」と呼ぶオンライン・ゲームの新サービスを発表した。課金制のオンライン・ゲームと,その入り口となる無料のポータル・サイト「オープンスペース」で構成する。

 オープンスペースは,文字リンクを主体とする一般的なインターネットのポータル・サイトとは趣を異にして,画像主体のサイトになっている。ユーザーなどが操るキャラクター(アバター)があたかもロール・プレイング・ゲーム(RPG)の街中を歩くように画面上を散策し,他のキャラクターと会話をしたり,動画を視聴したり,画像に張られたリンクから他のサイトへ移動するといったことが可能。ミニ・ゲームなども無料で提供する予定という。


「オープンスペース」の画面例

 この入り口部分と課金ゲームの第1弾を制作するのは,プレイステーション向けソフトウエア「みんなのGOLF」などで知られるゲーム開発会社,キャメロットである。第1弾のオンライン・ゲームももちろんゴルフが題材で,その名も「ゴルフだいすき! ~ I LOVE GOLF! ~」だ。プロモーションや販売・課金決済についてはヤフーと提携し,「Yahoo!ゲーム」内での販売を予定している。サーバ・システムは日立製作所の「BladeSymphony」を採用した。


「ゴルフだいすき! ~ I LOVE GOLF! ~」の画面例

開発元は語る

 ゲーム開発元のキャメロットは,任天堂の各種ハードウエア向けに人気作品「マリオゴルフ」や「マリオテニス」を提供するなど,家庭用ビデオ・ゲームで実績を持つメーカー。ソニー・コンピュータエンタテインメントが「8万本程度しか売れないとの予測から発売を渋った」(創始者の高橋宏之氏)という「みんなのGOLF」が240万本のヒットになるなど,かつてはヒット作がなかなか出なかったスポーツ・ゲームというジャンルに新風を吹き込んできた。

 高橋氏は,「ウチは決して大企業じゃない。作れるゲームも年に1~1.5本だ。当面はこのGプラネット構想向けの開発に専念することになる」と話す。ビデオ・ゲームで成功をおさめてきた開発チームがあえてオンライン・ゲームに専念する狙いは,ライト・ユーザーの獲得にあるという。「ゲームは難しくなりすぎた感がある。誰でも気軽に触れるゲームを広くインターネットで提供することは,ゲーム業界にとっても意義ある働きかけになると思う」(同氏)。

 「ゴルフだいすき!」には,(1)パソコン用マウスだけで操作できる,(2)視点の異なる複数のゲーム画面を同時に表示する,(3)パソコンの利用状況に合わせて画面サイズを調整可能にするなど,従来の家庭用ビデオ・ゲームにはない機能を盛り込んでいる。

上戸彩も語る

 広告キャラクターには,元気でさわやかなイメージが買われて,タレントの上戸彩さんが選ばれた。「ドラマの収録に入ると家にいる時間もほとんどなくなっちゃうけど,お休みの日にはゲーム,やりますよ。サッカーとか格闘技とか,ボタンを適当に押してもなんとかなっちゃうのがいいですね」と,まさにライト・ユーザーとしての立場だ。

 ただし,ゴルフ・ゲームには両親の影響で幼い頃から親しんだといい,「風向きとか,結構うるさいですよ」とこだわり(?)も覗かせる。実際にゲームを体験すると,「絵がリアルでいいですよね~」「打ったときにマウスが震えるのが感動です」と笑顔がこぼれた。


さわやか笑顔を振りまく上戸彩さん

 イレブンアップは2006年8月4日にサービスのプレオープンに向けたユーザー募集を始め,2006年秋にプレオープン(オープンβテスト)する予定。2006年内には正式にサービスを開始する計画だ。料金は検討中だが,「携帯電話用アプリケーション並みに引き下げたい」(イレブンアップ代表取締役社長の片山崇氏)とする。