キヤノンの2006年4月~6月期は好調だった直前四半期からなお勢いを増す好決算となった。売上高は対前年同期比12.8%増の1兆289億8300万円,営業利益は同32.6%増の1683億4200万円で,いずれも直前四半期を上回る成長率を記録した。事務機,カメラ,光学機器の3事業全てで増収,地域別にみても日本,米国,欧州,その他の全てで増収となっている。
成長率が大きかったのはカメラ事業だ。売上高は対前年同期比22.3%増の2682億2400万円,営業利益は同70.1%増の646億9700万円だった。デジタル一眼レフ・カメラは主力の「EOS Kiss Digital N」や新発売の「EOS 30D」などが大きく売り上げに寄与し,交換レンズも順調に売り上げを伸ばした。コンパクト機の販売も好調で,デジタル・カメラ全体の販売台数は対前年同期比で20%を超える伸びを示している。材料調達や生産においてコスト削減が進んだこと,高価格機の売上比率が増したことなどで,利益率も大きく向上した。
同社の売上比率2/3を占める事務機事業は8.6%の増収,20.0%の増益となった。企業向けプリンター複合機やドキュメント・スキャナなどの需要が堅調に推移した。低価格機を中心にレーザー・プリンターの販売も拡大している。
キヤノンは,通期(2006年1月~12月)の業績予想を修正した。売上高は前回発表の4兆1400億円から4兆1300億円への下方修正,税引前利益は6900億円から7000億円への上方修正になっている。プリンターやプリンター複合機でカラー化が進むこと,デジタル・カメラの需要は下期も堅調に推移すること,半導体用露光装置の受注は回復するが液晶用露光装置の需要は一巡したとみられること,などの事業環境の予測に基づいて修正したもの。前年実績に対しては10.0%の増収,14.4%の増益になる見通しだ。
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