Zuneのロゴマーク
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 米Microsoft Corp.は,メディア・プレーヤー「iPod」に対抗する製品を準備しているという業界の噂は事実であると認めた。同社は2006年7月21日(米国時間)に声明を発表し,その中でMarketing担当のGeneral Manager,Chris Stephenson氏は「我々は,新しい音楽やエンターテインメントのプロジェクト『Zune』を認める。今後,Zuneのブランド名で端末やソフトウエアの製品群を提供する。最初の製品は,今年中に発売する。技術やコミュニティーを統一することで,ユーザーは音楽を見つけたりできるようになる。ここには重要な市場チャンスがあると考えている」と述べた。Zuneは「ズーン」と発音する。

 米国の音楽業界雑誌「Billboard」のインタービューの中でMicrosoft社のStephenson氏は,Zuneブランドで最初に発売する製品は,HDDや無線LAN機能を搭載する携帯型音楽プレーヤーになるとも明かしている。携帯型音楽プレーヤーだけでなく,動画やその他のエンターテインメントも楽しめる端末も提供する意向という。ただし携帯型ゲーム機を製品化するかどうかについては,コメントをしなかった。

 Microsoft社はZuneブランドの下で,音楽やその他のエンターテインメントの情報などをユーザー同士で紹介しあえるコミュニティー・サービスを提供する。Zuneの携帯型音楽プレーヤーのユーザーは,他のユーザーと音楽再生リストを見せ合ったり,音楽を推薦し合ったり,曲を試し合ったりすることができるという。このコミュニティー・サービスの機能を利用できるのは,Zuneブランドの機器に限らない。家庭用ゲーム機「Xbox 360」やメディア・サーバ向けOS「Windows Media Center」を搭載したパソコン,「Windows Mobile」を搭載した携帯電話機でも使えるようにする。

 Zuneの普及に向けてMicrosoft社は,Xbox 360を発売した時と同規模のマーケティング・キャンペーンを展開するという。既にMicrosoft社は,Zuneの準備WWWサイト「Coming Zune」(WWWサイトはこちら)を開設している。このWWWサイトを開くと,一風変わったアニメーションが始まる。それが終わるとZuneの情報を提供するメーリングリストに登録できる。

 Zuneは,Microsoft社のメディア・プレーヤーの戦略に重要な変更が発生したことを示している。同社の戦略はこれまで,メディアを扱うソフトウエア技術を開発し,端末を開発するデジタル家電業界に幅広くライセンスする戦略を採ってきた。例えば音楽やビデオの符号化/復号化,DRMといったメディア技術「Windows Media」。さらに,携帯型動画プレーヤーに向けた「Windows Mobile Media Player Center」である。しかしこうした技術をデジタル家電業界にライセンスしても,現在のところ米Apple Computer, Inc.のiPod製品群に対抗できる製品はいまだに登場していない。すなわちZuneの登場は,Microsoft社が自社でメディア・プレーヤーそのものを手掛けるしかないと決断したといえる。