ソフトバンクBBは,短波帯の搬送波を利用する電力線データ通信(短波帯PLC)の通信設備の設置許可を2006年7月14日に総務省関東総合通信局から受けたと発表した(発表資料)。これから2006年10月31日までの約3カ月間,同社の本社ビル内に構築した実験設備を用いて,短波帯PLCによる漏洩電界の低減技術の実証実験を行うという。

 今回の実験で同社は,PLCモデムにチョーク・コイルを組み込んだり,電力線の被覆の外側にメタル・テープなど導電性のあるテープを巻き付けたりすることで電力線から放射される漏洩電界をどの程度低減できるかを確認する計画である。

 短波帯PLCは,2006年秋にも屋内限定ながら日本で利用できるようになる見通し。同社はこうした規制緩和を受け,短波帯PLCを通信サービスの一端に利用することを想定する。具体的には例えば,光ファイバなど高速なアクセス回線をMDF(main distribution frame)室まで引いたマンションで,MDF室とマンションの各戸をつなぐ屋内配線としての利用法である。

 既存のマンションは,光ファイバやLANケーブルを簡単には追加敷設できないことが多い。しかし,電力線が敷設されていないマンションはないため,PLCであればこうしたケースでも「光ファイバ並みの高速インターネットが可能になる」(同社)とする。また,こうした使い方によって「家電やパソコンなどの通信機器をコンセントにつなぐだけで簡単にインターネット通信ができる」(同社)こともPLCのメリットとしてあげている。

 ただし,屋外に伸びる電力線の利用については「可能性は検討しているが,今回の実験の目的ではない」(同社)とする。

 短波帯PLCは以前には,屋外に伸びる電力線をアクセス回線の一部として利用することで,ADSLや光ファイバと同様な「ラスト・ワンマイル問題」を解決する手段として注目された。しかし,漏洩電波が大きすぎ,数年にわたる議論の中で規制緩和の検討対象からはずされた経緯がある。