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 シャープは赤外線を用いた音声のデジタル伝送用送信側ICと受信用モジュールを発売した。デジタル信号にした音声信号を受信するのに,D-A変換器を必要としないのが特徴という。この結果,超小型,低消費電力,低遅延を実現した。サンプル価格は,送信側ICが800円,受信用モジュールが650円である。

 NTTが開発した「1ビット量子化1ビット伝送」と呼ぶ技術を実装する。NTTは同技術を,アナログ信号を振幅が一定のパルス信号の粗密波に変換し,それをデジタル信号として赤外線で送受信した後,インバータとRCフィルタだけを用いてアナログ信号に再変換するものと説明する。従来のデジタル伝送の受信回路に必要だったPLLやD-A変換器が不要で,消費電力や遅延が少なく,受信側の回路設計が非常に単純になることで小型化にもつながる。

 シャープの受信モジュールは,赤外線を受信するIrDAモジュールなどからなる。外形寸法は2.5mm×8.0mm×3.0mmと非常に小型である。動作には,これにLCRフィルタとスピーカが必要だが,指輪やイヤホンといった小型機器への搭載は容易という(関連記事)。音質も,FM音声並みの16kHzの信号帯域と70dBのS/Nを実現した。

電池は1日2時間の利用で1カ月もつ

 シャープの送受信器の消費電流は,送信用ICが動作時で3mA前後,シャットダウン時で0.6mA前後。受信用モジュールが動作時1.3mA,待機時5μAと非常に小さい。このため,75mAhのボタン電池で1日2時間使用した場合,約4週間続けて使えるという。使用せず,待ち受けだけなら約600日(約1年8カ月)の間,電池交換不要になる。