二次エアホース(画面左下)に穴があき,一酸化炭素が漏洩した
二次エアホース(画面左下)に穴があき,一酸化炭素が漏洩した
[画像のクリックで拡大表示]

 2005年に一酸化炭素による中毒事故(1名死亡,6名重軽傷)を起こした松下電器産業製のFF式石油温風暖房機について,独立行政法人の製品評価技術基盤機構(NITE)は「オゾンや熱でホースが劣化したのが原因」とする調査報告書を発表した(ニュース・リリース)。

 NITEは,事故機と同型の石油温風暖房機を用いて,考え得る様々ケースについて一酸化炭素の発生や漏洩を再現する実験を行った。この結果,以下のような分析結果を得た。

 一酸化炭素が発生した直接的原因は,給気ホース(二次エアホース)に一定以上の大きさの穴が開いたためである。穴が開いたことで給気機能が低下して不完全燃焼状態となり,高濃度の一酸化炭素が発生するとともに,一酸化炭素が二次エアホースに逆流し,穴から漏洩した。

 では,なぜ二次エアホースに穴が開いたのか。NITEは二つの理由を挙げる。一つは,二次エアホースの材質がニトリルゴム(NBR)製で,一般にオゾンなどにより劣化しやすいものだったこと。もう一つは,ホースを取り付ける際に大きな応力が残留したことだ。二次エアホースにオゾンや熱などによる劣化から亀裂が生じ,それが大きな穴に発展したとみられる。

 NITEは,1972年以降に製造された他社のFF式石油温風暖房機(16社1901機種)の給気エアホースなどの構造や材質について,事故機と同じものはないことを確認したという。

 経済産業省はこの結果をもとに,エアホースなどの構造・材質に関わる規格の見直しや,取り扱い説明書・本体表示ラベルなどの記述内容に関連する基準の見直しを検討するという。