「iPodの製造を担うFoxconnグループの従業員が低賃金で過酷な労働を強いられている」という趣旨の報道があり,ブログなどで話題になっている。日経エレクトロニクスは,Foxconnグループ(正式社名は台湾Hon Hai Precision Industry Co.,Ltd.) CEOのTerry Gou(郭台銘)氏に東京都内で会い,報道に対する意見を求めた。Foxconnグループは,世界最大のEMS企業でApple社のほかにも,Nokia社やDell社,ソニーといった顧客を抱えている。
——欧米中心に数多くのマスコミが,Foxconnグループの労働条件に問題がある可能性について報じました。
Terry Gou氏 中国語には「樹大招風」(出る杭は打たれる)ということわざがあります。今回の出来事は,その一例ではないでしょうか。報道された内容は正しくありません。だから私たちは,報道に対して訴訟を提起することを考えています。
99%の報道機関は正しく事実を伝えようと努めていますが,残る1%は真実でないことを好んで報じているのが実情です。元々の記事を書いた媒体は,当社の工場や幹部を取材していません。
ただ,私の周囲には今回の出来事に対して無視すべきだという人が数多くいます。「黙認した」と思われないために訴えれば,かえって不当な報道が世間の注目を集める結果につながるからです。私だけでなく世界中の企業や政府が,不当な報道に悩まされています。私は,時間が経てば真実が明らかになると信じています。
日経エレクトロニクスは,Foxconnグループの実像に迫る大型記事を,2006年7月末ころに掲載する予定です。
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