MEMS技術によって実現するSiマイクの最大手が,7月6日から開催の「MEMSソリューション 2006」で講演する。Siマイクは,既存のECM(electret condenser microphone)に比べて低コストに実装できるという特徴がある。このため携帯電話機などへの採用が相次ぐ見込みである。

 今回講演するのは,Siマイク最大手で補聴器メーカーでもある米Knowles Acoustic社で,当初からSiマイクの開発に携わり,現在でも開発を指揮しているPeter V. Loeppert氏(Vice President of Engineering)である。

 Siマイクが狙うのは,携帯電話機,デジタル・カメラ,携帯型音楽プレーヤなどの民生機器である。これらの総出荷台数は,2005年に10億台を超えた。現在のところ,このほとんどは,ECM(electret condenser microphone)を搭載している。ECMは,高温に弱いためリフロー・ハンダ付け工程には使えない。そのため,ECMは製造の最終段階に人手で実装されることが多い。

 これに対してMEMSマイク(Siマイク)は,Pbフリー・ハンダによる実装工程における高温プロセスに耐えられ,標準的なピック・アンド・プレース装置の利用が理想的である。これまでMEMSマイクを安定的かつ低コスト化するための開発が続けられてきた。特にコストは民生機器の市場において重要である。コストはSi面積で決まる。Siの面積を小さくする構造には,われわれが特許を持つ技術を採用しており,「free-plate diaphragm」と呼ぶSi薄膜を使う。組み立てコストは,自動組み立て工程により最適化している。今回の講演で同氏は,MEMSマイクにおけるMEMS部の設計,パッケージ,テストについて紹介する。