三洋電機のHIT太陽電池
三洋電機のHIT太陽電池
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 三洋電機は,同社の太陽電池事業の売上高を現在の3倍以上となる年間1800億円に拡大するための「HIT太陽電池 次世代プログラム」を発表した。2010年度までに400億円以上を投資して生産能力を増やしたり,セル変換効率を22%に高める計画などが含まれる。

 HIT太陽電池 次世代プログラムは,大きく分けて3つの計画からなる。(1)2007年度に100億円,2010年度までに累計で400億円以上を太陽電池に投資する。(2)太陽電池のセル変換効率を2010年度までに22%以上に高める。(3)多結晶Siウエハーを用いた「多結晶HIT太陽電池」を2007年度に発売する,である。

 このタイミングで次世代プログラムを発表したのは,不足しているSi材料の調達のメドをつけたから。調達のメドが立ったことで,数日前の経営会議で100億円の投資が承認されたという。「Si原材料調達ルートを拡大する新たなアライアンス構築のメドがついた」とするが,具体的な内容は非公開とした。

 2007年度の100億円の投資によって,大阪府にある二色の浜工場の年間セル生産能力を100MW増やして210MWに高め,島根三洋工業と合わせた年間生産能力を260MWとする。2007年度中に出荷予定の「多結晶HIT太陽電池」のセル変換効率は当初15~16%だが,2008年度には18%以上に高める計画。現在の単結晶ウエハーを用いた太陽電池に比べて原料価格が安くなるため,価格を重視するユーザーに向ける。そのほかに,現在約200μmのウエハー厚を,2007年度に180μm,2010年度までに150μm以下とする計画も示した。