黒川氏の説明は1時間以上にわたる長いものだった
黒川氏の説明は1時間以上にわたる長いものだった
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 富士通代表取締役社長の黒川博昭氏は,パソコンや携帯電話機,HDDなどの情報端末関連製品の事業に関して,当面継続する意向を明らかにした。同社が2006年6月9日に開いた経営方針説明会において,報道陣から寄せられた質問に答えたもの。「これらの事業の利益率は(同社のほかの事業に比べて)確かに低いが,これからどのように伸ばしていくべきか考えていく」(同氏)という。

 経営方針説明会で前出の質問が出た経緯には,2005年度の業績において,情報端末関連製品の事業を統括する「ユビキタスプロダクトソリューション」部門の営業利益率が3.2%(売上高は1兆599億円,営業利益は344億円)と,ソリューション/SI,インフラサービスといった事業を統括する「テクノロジーソリューション」部門の5.5%(同2兆9839億円,1641億円)と比べて低かったことがある。加えて,同社と業態が似ている米IBM社が近年になってHDD事業やパソコン事業を相次いで売却したということもあった。

 携帯電話機事業を続ける意義として,黒川氏は「パソコンとの融合もあり得る製品なので,自社でやっておかなければならない」と説明した。特に無線コア技術やプラットフォーム技術に関しては,独自開発にこだわっていくとしている。一方で,OS関連の開発では同じ「Symbian OS」(英Symbian社)を使っている三菱電機と連携を強化するなど,コスト削減にも取り組んでいるという。将来は,IPネットワークや無線通信規格「WiMAX」を利用した製品の開発も視野に入れる。

 ただし,ユビキタスプロダクトソリューション部門の2006年度業績は,売上高1兆1600億円,営業利益300億円と,増収・減益を予定している。減益の主な理由は設備投資額を300億円と,前年度の194億円に比べて100億円以上も増やすため。営業利益率も2.6%と悪化する見通しだ。