ソニーのデジタル一眼レフ・カメラ「α(アルファ)」シリーズ
ソニーのデジタル一眼レフ・カメラ「α(アルファ)」シリーズ
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 ソニーは2006年6月6日,デジタル一眼レフ・カメラ「α(アルファ)」シリーズの第一弾として,「α100(DSLR-A100)」を発表した。本体の価格は10万円程度になる見込みで,多くの消費者を対象とした普及機として売り込む。発売日は2006年7月21日である。同日開催した会見でソニー執行役 EVP デジタルイメージング事業部長の中川裕氏は「目標はシェア10%で,コンパクト機と合わせ一眼レフにも製品展開することでリーディング・カメラ・メーカーになる」と意気込みを語った。当初の月産台数は8万台とする。

 今回発表した製品の技術的な特徴は,「手ブレ補正」「1020万画素のCCDと画像処理LSI『Bionz(ビオンズ)』」「CCDへの埃除去機構」の3点という。

 手ブレ補正は,レンズではなく撮像素子を動かすことにより手ブレの影響を抑える。このため,今回発表した21本の交換レンズだけでなくコニカミノルタ時代のすべてのαレンズで補正効果を得られる。この補正機能は,コニカミノルタが開発したものを「10Hz程度の手ブレだけでなく,1Hz程度の体全体のブレも補正できる」(ソニー デジタルイメージング事業本部 AMC事業部 事業部長の勝本徹氏)ように改良したもの。撮像素子を動かす手ブレ補正機構は,ペンタックスも採用している。

 今回開発したCCDの外形寸法は23.6mm×15.8mm。CCDを採用したのは「求める画質を実現するには,現時点ではCCDがいいと判断した」(ソニーの勝本氏)ためという。今後は,市場の反響などをみてCCD,CMOSのどちらを採用するか判断していくとした。

画像処理LSIのBionzには,撮影した画像データを分析し適切な露出・階調表現に自動補正する「Dレンジオプティマイザー」を搭載する。英Apical Ltd.の画像処理技術を利用している。同技術は,英Sony Ericsson Mobile Communications ABの携帯電話機やニコンのデジタル・カメラにも搭載されているもよう。

 埃除去のためには,ローパス・フィルタ(LPF)表面に帯電を防止するコーティングを施すと共に,電源オフ時に撮像素子を震わすことで埃を落とす機構を採用した。

ソニーは2005年7月に,コニカミノルタとデジタル一眼レフ・カメラの共同開発で提携,その後,コニカミノルタのカメラ事業からの撤退を受けて,設計,開発,製造などの資産を譲り受けていた。

会見には,写真家の三好和義氏(左から2人目)もゲストとしてかけつける。子供のころ最初に触れたカメラは,コニカとミノルタだったという。
会見には,写真家の三好和義氏(左から2人目)もゲストとしてかけつける。子供のころ最初に触れたカメラは,コニカとミノルタだったという。
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手ブレ補正機構。撮像素子を取り囲む外板の中で,撮像素子がカメラ本体の振動を補正するように動く
手ブレ補正機構。撮像素子を取り囲む外板の中で,撮像素子がカメラ本体の振動を補正するように動く
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主要LSIを搭載したプリント配線基板。中央のLSIがBionz。その左に2個縦に並ぶのがメモリ。その左にあるのはマイコン
主要LSIを搭載したプリント配線基板。中央のLSIがBionz。その左に2個縦に並ぶのがメモリ。その左にあるのはマイコン
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