図◎2005年度決算を発表する、渡辺捷昭社長。
図◎2005年度決算を発表する、渡辺捷昭社長。
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 トヨタ自動車は,2005年度の連結業績を発表した。売上高は21兆369億円(前年度比13.4%増),営業利益は1兆8783億円(同12.3%増),当期純利益は1兆3721億円(同17.2%増)と,いずれも前年度を上回り,増収増益となった。営業利益は前半期の段階では前年度を下回ったものの,後半期は大幅増となり,通期で増益となった。販売台数は797万4000台と過去最高を更新した。

 営業利益の増益要因は,為替によるプラス影響が3000億円,営業努力によるものが2400億円,原価改善によるものが1300億円。,厚生年金基金代行返上益の減少(472億円)や諸経費の増加ほか(4166億円)といった減益要因はあったものの,それらをカバーして余りあるものだった。同社は「為替はプラスに働いたのは確かだが,業容拡大のための先行投資が設備投資で1兆5288億円(前年度比4416億円増),研究開発費で8126億円(同575億円増)と高水準だった。増益は,それらを営業努力や原価低減によって吸収した結果であり実力が反映されたものとみている」としている。

 さらに,同社は2006年度の連結業績の見通しも発表。売上高は22兆3000億円(2005度比6.0%増),営業利益は1兆9000億円(同1.2%)で,ともに増加を見込む。販売台数も2005年度比47万6000台増の845万台と予測している。

 営業利益の伸びが売上高の伸びと比較して小さいのは,主に為替の影響による。同社は,2006年度の為替は円高に振れ,米ドルもユーロも2005年度よりも3円高くなるとして見通しを立てている。そのほか,業容拡大のために,1兆5500億円と1兆5000億円を超える高水準な設備投資が2006年度も続き,さらに研究開発費が9200億円と1074億円も増えることが,増益の幅を減らす要因になるとしている。さらに,資材の高騰により原価低減の努力が相殺されてしまうことも利益を大幅に伸ばしにくい要因としている。

 当期純利益については,1兆3100億円と2005年度比4.5%減の予測となっている。これは主に,2005年度の同利益に含まれていた「三菱東京フィナンシャルグループとUFJホールディングスの合併に伴う株式交換益」がなくなるという特殊事情によるもの。「実質的には,純利益もプラスになる見込み」と同社は考えている。

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