図1 決算発表するデンソー 取締役社長の深谷紘一氏
図1 決算発表するデンソー 取締役社長の深谷紘一氏
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 デンソーは,2005年度通期(2005年4月~2006年3月)の連結決算を発表した(発表資料,図1)。売上高は前年度比13.9%増の3兆1883億円,営業利益は同24.6%増の2666億円の増収増益だった。売上高は同社として初めて3兆円を超えた。同社の売上高の約70%を占める国内市場において,トヨタ自動車をはじめとする国内自動車メーカーの国内生産が堅調である上に,海外市場でも日系メーカーの現地生産が好調なことが増収を後押しした。増産対応のために労務費が増え,さらにCuやAlといった原材料費の高騰による素材費がかさんでしまったが,売上高増加による1065億円もの操業度差益や211億円の為替差益などがあったために増益となった。デンソーの単独決算では売上高が前年度比10.5%増の2兆570億円となり,単独決算としては初めて2兆円に達した。

 地域別に連結決算を見ると,国内市場では好調な国内自動車生産に支えられ,売上高が前年度比11.1%増の2兆2890億円,営業利益は同15.4%増の2077億円だった(図2)。北中南米市場では売上高が同19%増の6904億円と好調だったものの,労務費の増加や製品構成の変化の影響により営業利益は同7.5%減の219億円にとどまった。欧州市場では売上高が同13.1%増の4230億円。前年度は88億円の赤字だった営業利益は,チェコやハンガリーの工場の本格稼働や合理化によって16億円の黒字に転換できた。アジア・オーストラリア市場では売上高は前年度比35.8%増の3951億円,営業利益は82.9%増の367億円と大幅に伸びた。これは,トヨタ自動車の「IMV」シリーズの販売が好調に推移し,さらに日系自動車メーカーの車両生産数量が伸びたからである。

 デンソーは,2006年度通期の連結決算も堅調と予想する。売上高は2005年度に比べて6%増の3兆3800億円,営業利益は同5.8%増の2820億円を見込む。

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図2 地域別の売上高と営業利益
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