三菱電機が発表した2006年3月期(2005年度)の連結決算は,売上高が2年連続,営業利益や純利益が4年連続で増加する好業績となった。営業利益率は4.4%。全セグメントで増収を達成するとともに,改善活動や円安効果が奏功した。2007年3月期(2006年度)は成長戦略の着実な実行により,3年連続の増収,5年連続の増益を目指す。

 売上高は6%増の3兆6041億円で,営業利益は31%増の1577億円,純利益は34%増の956億円。「強い事業をより強くする」という経営方針を掲げて収益の強化を図り,全社的なコスト削減活動で売上原価を減らした。

 最も好調だったのが,産業メカトロニクスセグメント。中でも,FAシステム事業が,日本を含めた世界市場での自動車分野および,日本と韓国,台湾市場での薄型テレビ受像機向けディスプレイ分野の設備投資の追い風を受けた。これにより,同セグメントの売上高は10%増の8601億円,営業利益は236億円増えた959億円に達した。全体の利益に占める同セグメントの利益は50%を超える。

 情報通信システムセグメントも,売上高が5%増の6441億円,営業利益は204億円改善した206億円と業績の向上に貢献した。これは,携帯電話機の事業を「筋肉体質にした」(同社)ことが大きい。不振だったフランスと中国市場からの事業の撤退を決めて赤字の原因を除去。併せて,規模の追求を止めて開発の効率化を図り,NTTドコモ向けに開発した第3世代携帯電話機をヒットさせた。

 その他,電子デバイスセグメントも好調で,産業機器向けやハイブリッド車向けのパワーモジュール,DVDレコーダ向けの赤色半導体レーザの販売が伸び,売上高が4%増の1703億円,営業利益が74億円増えた135億円となった。

 一方,営業利益が減少したのが家庭電器セグメント。北米市場のプロジェクションテレビ受像機が,販売不振と価格下落で赤字を計上。エアコンでは欧州市場が「暑くならなかったことで他社の在庫が積み上がっていた影響を受け」(同社),減益となった。その結果,同セグメントの売上高は3%増の8964億円となったものの,営業利益は107億円減った149億円にとどまった。

 2006年度について同社は,売上高を3%増の3兆7000億円,営業利益を11%増の1750億円と見込む。営業利益率を4.7%に高める計画。

 最後に同社に設備投資の状況について聞いた。

──現在の好調な設備投資はいつまで続くか。
同社専務の佐藤行弘氏:現在の受注状況は非常に高水準で,こうした状況は2006年度の上期までは続くと見ている。しかし,下期は半導体,フラットパネル(液晶パネルやプラズマ・ディスプレイ・パネル)の設備投資に一服感が出てくると考えている。

■国内企業の最新の決算はこちらからご覧いただけます。