図1 日産自動車 社長のCarlos Ghosn氏
図1 日産自動車 社長のCarlos Ghosn氏
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 日産自動車は,2005年度通期(2005年4月~2006年3月)の連結決算を発表した(発表資料,図1)。売上高は前年度比9.9%増の9兆4280億円,営業利益は同1.2%増の8718億円だった。当期純利益は同1.1%増の5181億円を確保し,6期連続で過去最高を更新した。原材料の価格や原油価格の高騰,主に北米市場でインセンティブが上昇するなど,自動車業界に対して逆風が吹く中で,堅調な業績を上げた。

 販売台数は同5.3%増の約356万9000台と過去最高を記録した。日本市場は同0.7%減の約84万2000台,欧州市場(暦年ベース)は同0.6%減の約54万1000台と低迷したものの,同6.1%増の約107万5000台だった北米市場と同13%増の約111万1000台だったその他の海外市場が引っ張り,販売台数が伸びた。日本市場と欧州市場は販売台数が減ったものの,営業利益を見ると,日本市場は前年度の3411億円から3904億円へ,欧州市場は560億円から672億円へと増加している。

 2005年度決算と共に,日産自動車は2006年度の業績見通しを公表した。連結の売上高は2005年度と比べて6.9%増の10兆750億円,営業利益は同0.9%増の8800億円,当期純利益は0.9%増の5230億円に達するとの見通しを示した。「2006年度は上期と下期で様相が大きく異なる」(同社 社長のCarlos Ghosn氏)というように,上期は販売台数と利益が減少するものの,8車種の新車投入を予定する下期に販売台数が10%以上拡大して巻き返しを図れると見る。なお,同社は2006年度上期に新車を1車種投入する予定。

ハイブリッド車の開発は続けるが・・・


 日産自動車 社長のGhosn氏は決算発表の席上,ハイブリッド車の米国における市場展開についてコメントした。同社はトヨタからハイブリッド・システムの供給を受ける形で,2007年からハイブリッド車「Altima Hybrid」を米国の8州で市場投入することを発表している。独自技術を使ったハイブリッド車も開発中である。

 しかしながら,ハイブリッド車の市場展開を拡大することについては,時期尚早と慎重な考えを示した。原油価格がさほど高騰していなかった2005年3月と,原油価格が高騰した2006年3月の米国におけるハイブリッド車の販売動向を引き合いに出し,販売が成功しているとは言い切れないとした(図2)。「販売台数は伸びていない。生産台数を減らしているとか,インセンティブを増やして販売しているといった他社の話が聞こえてくる」(同氏)とし,まだハイブリッド車が市場で十分に受け入れられる土壌ができていないとの考えである。ただし,ハイブリッド車を求める消費者の声が将来高まることを見越し,独自技術のハイブリッド車の開発は続けていくという。

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図2 米国におけるハイブリッド市場の販売動向
図2 米国におけるハイブリッド市場の販売動向
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