TPM社の外観
TPM社の外観
[画像のクリックで拡大表示]

 東レは,マレーシアの子会社であるToray Plastics (Malaysia)社(TPM社)のABS(アクリロニトリル・ブダジエン・スチレン)樹脂「トヨラック」の生産能力を増強する。これによりTPM社の生産能力は,これまでより11万t多い33万t/年に,国内生産拠点の千葉工場(千葉県市原市)を含むグループ全体では,40.2万t/年になる。併せて,透明グレード品の生産も始める計画だ。投資総額は約100億円。2008年3月からの稼働を目指す。

 東レによると,世界でのABS樹脂の需要は,2005年時点で約580万t。今後も,年率5%以上の成長が期待できるという。特に,そのうち約330万tを占めるASEAN地域と中国では,自動車や家電,OA機器メーカーの現地生産が拡大しており,2010年には世界市場の65%に当たる450万tまで拡大する見通しだ。そこで東レは,TPM社で高品質/高機能品の安定供給体制を構築。さらに,透明グレード品を生産することでラインアップを拡充する。加えてTPM社は,Toray BASF PBT resin社で生産するPBT(ポリブチレン・テレフタレート)樹脂の供給も始める。

 一方で,マザー工場である千葉工場では,東レが持つナノアロイ技術を生かした先端材料開発の推進を図り,生産効率を高めるための体制整備を進める。これにより,製品の高機能化と多機能化,多品種・小ロット化が進む日本国内の需要への対応を強化。同時に高グレード品を世界規模で販売する。

 東レではこのほかでも,ABS樹脂事業の強化を図る。中国の東麗繊維研究所(中国)社との共同研究開発や,東麗塑料理社,タイTTS社などコンパウンド拠点との生産販売連携を推進するという。