岩谷産業は,液体水素や空気分離ガスを製造するハイドロエッジ(本社大阪市)が2006年4月1日に営業運転を始めると発表した。ハイドロエッジは,岩谷産業と関西電力グループの堺LNG(本社大阪府堺市)の合弁で2004年に設立した会社。2005年11月から試験運転をしていた。

 ハイドロエッジのプラントでは,LNGの-163℃の冷熱を利用して,空気から窒素や酸素,アルゴンといったガスを分離する。1時間当たりの生産量は,液体酸素が4000Nm3,液体窒素が1万2100Nm3,液体アルゴンが150Nm3

 さらに,上記のプラントで生産する液体窒素の冷熱も使う。天然ガスから水蒸気改質して得たガス状の水素を,この-196℃の冷熱で冷やして液体水素を生成。液体水素の製造設備と空気分離ガス製造設備のそれぞれで,1時間当たりに3000Lを生産できる。このように,液体水素プラントと空気分離ガスプラントを併設し,二つの工程を組み合わせることで,消費電力を減らせる。この方式を採用するのは,国内で初という。

 岩谷産業は,液体水素を宇宙航空研究開発機構に供給する。さらに同社は,既存産業への利用拡大とともに,液体水素による水素供給の汎用化を図る。