米Microsoft Corp.は3月21日,これまで2006年内を予定としていた次期OS「Windows Vista」の一般消費者向けの発売時期を,2007年1月に延期すると発表した。同社は延期の具体的な理由について明言していないが,「品質をより安定させるなど,消費者にベストな製品を提供するため」(マイクロソフト広報部)としている。日本語版の発売時期については,「1月以降だが,まだ正式に決定していない」という。

 同社が今回発表したスケジュールによると,2006年第2四半期に一般消費者向けのWindows Vistaベータ版を,約200万人のテスト・ユーザーに提供する。年内には開発が完了し,パソコン・メーカーでのテストなどを経て,2007年1月には店頭にWindows Vista搭載パソコンや,パッケージが並ぶ。

 ただし,企業内に設置された数多くのパソコンにOSを搭載して使う大規模顧客向けには,予定通り2006年11月に提供する。「企業ではWindows Vistaを社内で使うのに,長いテスト期間が必要だ。そのため,我々は企業向けと一般消費者向けの出荷時期をずらす決断を下した」(米Microsoft社 co-president for the Platforms&Services DivisionのJim Allchin氏)と言う。
 
 Windows Vistaは,Microsoft社が2001年10月に発売したWindows XPの後継OS。同社にとっては異例に長い開発期間をかけたOSであり,業界では「搭載を予定していた一部機能を削ってでも米国の2006年ホリデー商戦(11月後半から12月末)に間に合わせるのでは」との見方が多かった。しかし,最大の商戦期を逃すことで,Windows Vista普及に向けての出足がつまづく可能性も出てきた。