米Texas Instruments Inc.がWiMAXに注力する姿勢を鮮明にした。同社は2006年2月27日,WiMAX市場への取り組みに関する5件の内容を一斉に発表した。固定およびモバイルのWiMAXサービスに不可欠となる基地局向けチップセットや参照デザインの提供に関するものである。同社のDSPとA-D/D-A変換器などアナログ部品を組みあわせて提供することで,WiMAXの基地局開発を進める機器メーカーへの採用増を目指す。

 WiMAXは固定通信用の伝送規格「IEEE802.16-2004」が既に策定済みであり,自動車や携帯機器など移動体向けの伝送規格「IEEE802.16e」も2005年12月に仕様が固まった。これを受けて現在,固定向けおよび移動体向けの両方でサービス実験が進んでいる。2006年中にもこうしたサービスに向けたインフラ構築が東アジアや欧州,南米など広い地域で始まるとみられており,通信機器メーカーによるWiMAX基地局の開発が進んでいる。機器メーカーの需要の高まりに合わせる形で,大手半導体メーカーがWiMAX向け部品の製品展開を拡充しつつある。

 TI社が2006年2月27日付けで発表したのは,1)同社のDSPを核にしたモバイルWiMAXの基地局向けソリューションの提供,2)最大4GHzの周波数まで対応する,第2.5世代から第3世代,そしてモバイルWiMAXに向けた低雑音の直交変調器の発表,3)同社がWiMAX関連製品の提供に注力する狙いを示す内容の発表,4)米ArrayComm社と基地局向けのスマート・アンテナ技術に関して協業,そして5)基地局装置向けモジュールの開発に関する米Mercury Computer Systems社との提携である。

 TI社の発表資料では,米調査会社であるIn-Stat社の予測値として,WiMAX用チップセットの市場が2009年までに9億5000万米ドルに達する見込みであることに言及するなど,今後数年間の成長市場として大きな期待を寄せることを示している。