図1 合成したデンドリマーの構造
図1 合成したデンドリマーの構造
[画像のクリックで拡大表示]

 情報通信研究機構(NICT)と伯東は,有機ELパネルなどに利用可能な高分子(超分子)材料である「デンドリマー」を従来の約1/10の時間で製造できる量産技術を確立した。さらに,NICTではデンドリマーの製造技術に関する特許の実施を伯東に許諾し,同社がデンドリマーの販売を開始するとしている。

 デンドリマーは,中心のコア分子から放射線状に規則的に分岐した骨格構造を持つ高分子化合物(図1)。今回合成したのは,エステル型のポリグリセロール-コハク酸デンドリマーで,「保護基導入工程」と「脱保護工程」の2つの反応を繰り返すことで分岐を増やす。NICTでは両工程にかかる製造時間を大幅に短縮した。

 具体的には,保護基導入工程で触媒を使用することなどにより,精製を含む後処理工程の時間を従来に比べて半減させた。一方,脱保護工程では常圧の環境下で,0.5時間~1.5時間ほどで反応が完了する条件を見出した。従来は高圧水素を使用し,約10時間の反応が必要だった。

 なお,この今回の成果は2006年2月21日から東京ビッグサイトで開催される「国際ナノテクノロジー総合展」で披露する予定で,受注を含めた商談を進めていきたいとしている。