クラレは,メタノールを燃料に使用するダイレクト・メタノール型燃料電池(DMFC)向け炭化水素系電解質膜を開発した。従来のフッ素系電解質膜に比べてメタノールのクロスオーバーを40%減少できる上,最大出力を1.6倍に高めることができるとしている。

 同社の炭化水素系電解質膜は,熱可塑性エラストマーを利用する。メタノール分子では透過しないが,水素イオン(プロトン)は透過できる膜表面を化学処理により形成することで,メタノールのクロスオーバーを削減するとともに,水素イオンの透過度を高めた。

 開発した電解質膜はこのほか,エラストマーの特性である柔軟性を備えており,電極との密着性が高いことから,電極と膜の間のプロトン伝導が阻害されにくいという。クラレでは,2008年から燃料電池向け電解質膜を事業化する計画で,合わせてMEA(膜/電極接合体)での販売も進めていく。

 なお,今回開発した電解質膜およびMEAは,2006年1月25日~27日に東京ビッグサイトにて開催される「第2国際水素・燃料電池展」に出展する。