オンキヨーは,2006年度(2005年4月~2006年3月)の業績予想を下方修正した。前回予想では470億円としていた連結売上高は445億円へ,4億円の黒字を見込んでいた当期純損益は10億5000万円の赤字へ,それぞれ修正している。

 修正の理由は,ハード・ディスク装置やフラッシュ・メモリを記録媒体に用いる携帯型音楽プレーヤなどの急激な普及に伴って,従来のオーディオ市場が同社の予測を超える縮小を続けていること。最大の需要期である年末商戦も不調に終わり,2005年11月~12月は当初の売り上げ目標に対して約7億円の未達となった。

 また,同社は業務用ブラウン管テレビの販売事業からの撤退を決めた。これに伴って同事業関連の固定資産について減損処理を行い,特別損失3億4500万円を計上する。この他にも,同社が「非コア」と位置づける事業に関して,資産の売却などを検討しているという。

緊急対策を実施へ

 同社は短期的に業績を回復させるための「緊急対策」として,以下の3つの施策を実行する。

(1)人件費の圧縮:2006年度(2006年4月~2007年3月)の役員報酬を15%削減するなど,人件費の圧縮を図る。

(2)子会社の統廃合:2006年1月1日付けで米国の販売子会社2社を合併。中国では販売子会社と生産子会社を再編するための中国政府への申請手続きに入っている。マレーシアでは生産子会社2社を,国内でも生産子会社4社を再編する。

(3)人員削減:子会社の統廃合に伴って人員を削減するほか,早期退職募集などの施策を検討する。詳細は現在,策定に入っている中長期の経営計画で明らかにする予定。

EPCで挽回を

 コンポやスピーカなど据置型オーディオの老舗メーカーが事業方針の転換を迫られている。「従来のオーディオ市場は以前から縮小傾向にはあった。ただし2005年にはiPodを中心とするデジタル・オーディオの普及のスピードと,それに伴う従来市場の縮小のスピードが予想を大きく超えた」(同社広報)という。今後は米Intel Corp.の「Viiv」プラットフォームを採用する「エンターテイメントPC」(EPC)に注力して,デジタル時代にふさわしい事業体制へ移行する考えだ。2006年春には,第1弾製品を米国を皮切りに市場投入する計画。「当初の価格はどうしても高いものになるが,市場の認知を得る意味では大きな一歩になる。数年後に価格がこなれてくれば主力事業に成長するはずだ」(同)としている。