デジタル・カメラのOEM受託企業,台湾Premier Image Technology Corp.の生産台数が急伸している。同社は,2004年に450万台だったデジタル・カメラの生産台数が,2005年に950万台に達したという。前年の2.1倍に増えたというわけだ。主に日本メーカーで構成するカメラ映像機器工業会(CIPA)の生産統計では,2005年1月~11月における生産台数の伸びが対前年同期比5.4%増にすぎないのと好対照である。

 Premier社は,2006年にデジタル・カメラを1400万台生産する計画という。この値は,三洋電機の2005年度計画値である1300万台を上回る。三洋電機における2006年の計画値は不明だが,現在のPremier社の伸び率から考えれば,数年内にPremier社が生産台数で三洋電機を抜く可能性がある。なお,現時点で三洋電機よりも生産台数が多いメーカーは,キヤノンとソニーである。

 ただし,Premier社の生産台数についての発表は,必ずしも第三者によって裏付けられていない。あるデジタル・カメラ向け半導体の営業担当者は「2005年に対前年比2倍を超える台数成長をPremier社が遂げたとは思えない」といぶかしがる。テクノ・システム・リサーチ日経マーケット・アクセスは共に「2005年の生産台数は500万台がせいぜいではないか」とみている。

 市場調査会社の見方とPremier社の発表値が異なる要因の1つに,市場調査会社は消費者市場に出荷された台数などから生産台数を見積もることがある。在庫まで推定することが難しい。「Premier社はある程度在庫を抱えておき,発注がきたら出荷先のブランドに合った外装をまとわせて出荷するといった事業運営もしているようだ」(テクノ・システム・リサーチ)。

 日経マーケット・アクセスは,Premier社の2005年における生産台数が仮に正確な値だとすれば,以下の3つのいずれかが前提になっている可能性があるという。第1はPremier社がいわゆる,おもちゃデジカメもカウントしていること。ただしおもちゃデジカメ市場は,デジタル・カメラの低価格化によって縮小している。第2に,Premier社が中国市場向けの出荷を伸ばしていること。同社は中国市場では,自社ブランド品を販売している。第3には,最終製品だけでなくモジュール製造分もカウントしていることである。