HD DVD Promotion Groupがプロモーション・イベントを開催
HD DVD Promotion Groupがプロモーション・イベントを開催
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イベントのMCは,娯楽ニュース番組「Access Hollywood」のホスト役で知られるNancy O’Dellさん。軽快な語り口で進行していく。
イベントのMCは,娯楽ニュース番組「Access Hollywood」のホスト役で知られるNancy O’Dellさん。軽快な語り口で進行していく。
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「HD DVDのパッケージ媒体にコンテンツを提供します」と映画業界。
「HD DVDのパッケージ媒体にコンテンツを提供します」と映画業界。
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HD DVDプレーヤにおけるマネージド・コピー機能のメニュー画面例
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CRUTCHFIELD.COMのトップ画面には,東芝のHD DVDプレーヤと「Pre-order yours today」の文字が見える。
CRUTCHFIELD.COMのトップ画面には,東芝のHD DVDプレーヤと「Pre-order yours today」の文字が見える。
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 「HD DVDは“Now Playing”だ。もはや試作品ではない。製品レベルで実際に動く。2006年は記念すべき普及元年となる」(東芝 執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長の藤井美英氏)---。

 次世代DVD規格の1つのHD DVDの推進団体「HD DVD Promotion Group」は2006年1月4日夜,「2006 International CES」の開催にあわせてイベントを開催した。プロモーション活動の一環で,ここ数年のCESでは恒例となっている。しかしHD DVDプレーヤの製品発表の年となった今回は,いつもよりもさらに力を入れたイベントになった。映画館を模した会場を駆使し,当初リリースされるHD DVDのタイトルを発表したほか,HD DVDの画質やインタラクティブな操作,マネージド・コピー機能の実演などを披露した。

 会場にはHD DVD Promotion Groupに名を連ねる映画会社やエレクトロニクス業界各社の関係者が集まった。例えば映画会社では米Universal Studios Home Entertainment社や米New Line Home Entertainment社,米Paramount Pictures社,米HBO Video社,米Warner Home Video社の役員らが来場し,HD DVDの再生専用パッケージ媒体を提供する姿勢をアピールした。各社のタイトル投入数を合わせると,2006年中には150以上,200タイトル近くに達する見通しだという。欧州の映画会社で仏Canal+社の子会社であるStudioCanalや,米Miramax Film Corp.もHD DVDタイトルの供給を決めたという。

 一方,エレクトロニクス業界からは東芝や米Intel社,米Microsoft社の責任者が登壇し,HD DVDへの期待や,同フォーマットが備える機能などについての実演を行い,その利便性を訴えていた。Microsoft社の担当者は次期Windowsの「Windows Vista」を組み込んだパソコンでHD DVDの再生が行えることを見せていた。

 途中,米Amazon.com社の担当者が登場し,東芝が3月に出荷するHD DVDプレーヤの予約販売を開始したとアナウンスした。Amazon.comのほか,米国における大手小売業者のBEST BUYSears CRUTCHFIELD.COMなどもHD DVDの販売を行う。

「最初は儲からない」

 このイベントが始まる直前,東芝の藤井氏にHD DVDプレーヤを499米ドルで発売したことに関して聞いてみた。「499米ドルを決めるにあたっては,相当悩んだ。確かに最初は儲からない。しかし,当初高い値段で出して,年末には大きく価格が下がっていたら,最初に購入してくれたユーザーに申し訳ないと思って決断した。従来は999米ドルと言っていたから,対抗する規格を推すメーカーの方々は相当驚いているみたい」。ちなみに東芝は,青紫色半導体レーザを日亜化学工業から調達するという。日亜化学工業は,Blu-ray Discを推すソニーとも特許のクロスライセンス契約や(関連記事),レーザ・カプラの共同開発(関連記事)などを行っている。日亜化学は生産体制を強化しているとはいえ(関連記事),プレーヤなどの販売状況によっては2006年春に発売される予定の「プレイステーション 3」との間で半導体レーザの争奪という別の戦いも巻き起こるかもしれない。

 競合するBlu-ray Disc陣営も同様のプロモーション・イベントを米国時間の2006年1月5日夜に開催する。詳細はその場で明らかになるが,実際にはHD DVDタイトルとほとんど同じタイトルがBlu-ray Discでも供給されるもようで,米国の映画業界の両にらみ戦略が一層鮮明になってきている。2006年,HD DVD陣営とBlu-ray Disc陣営の戦いは,エレクトロニクス業界の利益をさらに削りながらの厳しい消耗戦に発展することになりそうだ。