総務省の「ワイヤレスブロードバンド推進研究会」は,高速無線データ通信向けの周波数割り当てなどに関する方針をまとめた最終報告書を,2005年12月21日に公開する。内容は,「2.5GHz帯には非IMT-2000系の通信方式を割り当てる」など2005年11月18日に公開した報告書案にほぼ従ったものになる。2005年12月20日に開催した会合(第254回 ITU-R研究会と第270回 ITU基本問題研究会の共催)で,総務省 総合通信基盤局 電波部 衛星移動通信課 企画官の金子直之氏が明らかにした。
 同研究会はワイヤレスブロードバンドの普及に向けて,利用場面に応じて「移動通信」「有線ブロードバンドの代替」「ITS(intelligent transportation systems)」「情報家電用ネットワーク」の4種類の無線システムを検討してきた。このうち,需要が多いと見込まれる都市部を中心とする高速データ通信に関しては急いで取り組むべきだとし,情報通信審議会の中に部会を設けるなど,報告書を受けた形で具体的な活動に移行することになる。

IMT-2000支持が2件,新方式支持が8件

 この移動通信向けに割り当てが予定されているのが,2.535GHz~2.605GHzの70MHz幅の帯域。ITU(国際通信連合)が定める国際規格IMT-2000用に割り当てられている周波数帯の一部であるが,研究会が示した報告書案では「モバイルWiMAX」と呼ばれるIEEE802.16eや次世代PHSなどIMT-2000以外の通信方式に割り当てる方針を示していた。総務省では,報告書案に対する意見を12月9日まで受け付けた。通信事業者や機器メーカーからの意見がほとんどだったという。
 
 提出意見のうち,2.5GHz帯の利用方法について「『IEEE802.16eや次世代PHSが適当』とする意見が8件に対し,『IMT-2000系が適当』とする意見は2件だった」(総務省の金子氏)。こうした結果を踏まえて,最終報告書は原案にほぼ沿った形になったもようだ。寄せられた意見の中には,無線LAN(IEEE802.11)をはじめとしてここ数年存在感を増しているIEEE系の標準への積極的な寄与を求める声が多かったという。

 今後のスケジュールについては「具体的な活動を始めてからサービス開始まで,早くとも2年かかる。2006年6月に2.3GHz帯を使ってモバイルWiMAXベースのサービスを始める韓国にはさすがに追いつけないが,2年後の2007年をメドに新しいサービスを始められるようにしたい」(総務省の金子氏)とした。