ディスプレイサーチによれば,2005年におけるFPDの市場規模は対前年比20%増の743億7000万米ドルに達する見込みだ。同社主催の講演会「ディスプレイサーチフォーラム」で明らかにしたもの。2005年時点で既にディスプレイ市場の88%をFPDが占めており,伸び率は今後,鈍っていくものの,2009年まで平均10%程度の年間成長率で伸長し,2008年には1000億米ドルを突破するとディスプレイサーチは予測している(図1)。


図1●CRTとFPDの市場規模の推移(第10回ディスプレイサーチフォーラム資料より)

 用途別に市場規模をみると,今後の伸び率が最も高いのは液晶テレビだ。2005年はFPD市場全体の15.5%を占めるにとどまっているが,2009年には28.3%へ上昇する見込み。PDPテレビと合わせると36%に達する(図2)。薄型テレビ需要は台数ベースでも,2005年の2710万台から2009年は9000万台へ増加する見通しである。


図2●FPD技術別の市場規模の推移(第10回ディスプレイサーチフォーラム資料より)

 こうしたテレビ向け液晶パネルの市場では寡占が進んでおり,2005年第3四半期(7月~9月)は上位5社で全世界の出荷量の約94%を占めた(図3)。韓国LG.Philips LCD Co., Ltd.と韓国Samsung Electronics Co.,Ltd.が熾烈な首位争いを繰り広げている。両社はTFT液晶ガラス基板の投入量においても抜きつ抜かれつのデッドヒートを展開中で,これを台湾AU Optronics Corp.や台湾Chi Mei Optoelectronics Corp.がじわじわと追い上げている状況だ(図4)。


図3●2005年第3四半期におけるテレビ向け液晶パネル出荷シェア(第10回ディスプレイサーチフォーラム資料より)

図4●TFT液晶ガラス基板の投入面積トップ10シェア(第10回ディスプレイサーチフォーラム資料より)

韓国は2強の覇権争い,台湾は上位グループで提携つづく

 韓国では,LG社とSamsung社が部材から最終製品にいたるまでの垂直統合を行って,2社でFPD市場の覇権争いを続けている。2005年第3四半期はSamsung社で液晶テレビの売上高が初めてCRTテレビを上回り,LG社においてもPDPテレビの売上高が初めてCRTテレビを上回った(図5)。ディスプレイサーチ上級副社長の田村喜男氏は「今後は大型液晶テレビの増産やPDPテレビのフルHD(High Difinision)化が両社の勝負のポイントになる」と指摘する。


図5●2005年第3四半期におけるSamsung社とLG社それぞれのテレビ売上比率

 Samsung社は40インチ型液晶テレビを第3四半期に21万5000台出荷。直前四半期の7万9000台から大幅に増産している。一方,LG社は37インチ型を21万9000台,42インチ型を7万2000台と,それぞれ直前四半期の2倍近く出荷。第4四半期に入って47インチ型の量産も始めたという。また,PDPテレビではSamsung社が50インチ型と63インチ型で,LG社が60インチ型でそれぞれフルHD機種の量産を2006年に開始する計画だ(図6)。


図6●PDPモジュール主要各社ロードマップ(第10回ディスプレイサーチフォーラム資料より)

 韓国のFPD市場が2強の寡占状態にあるのに対して,台湾では上位7社がひしめいている。今後もメーカーの淘汰が進む気配は薄く,むしろ事業提携などを繰り返して,このまま7社を中心とした複雑な市場構造が確立されそうだという(図7)。中でも,2001年~2005年の投資や生産能力,出荷金額をみると,調子が良いのはAU Optronics社とQuanta Display Inc.,逆に振るわないのはHannStar Display Corp.といえそうだ(図8)。


図7●台湾TFT液晶市場の提携関係(第10回ディスプレイサーチフォーラム資料より)

図8●台湾FPDメーカーの2001年~2005年における投資と生産能力と出荷金額の成長率(第10回ディスプレイサーチフォーラム資料より)