米Gartner, Inc.は,2005年における半導体の市場規模は対前年比6.9%増の2350億米ドルになるとの見通しを発表した。2000年に記録した2230億米ドルを上回って過去最高になる見込みだ。高成長の要因となったのはフラッシュ・メモリ市場の拡大。米Apple Computer, Inc.の携帯型音楽プレーヤ「iPod shuffle」や「iPod nano」がフラッシュ・メモリ市場を牽引したとGartner社では分析している。

 メーカー別には,米Intel Corp.が首位を堅持している。過去3年にわたって同社の成長率は市場平均を下回っていたが,2005年は市場平均の約2倍にあたる14.3%という高い成長率を記録する見込み。主力製品であるマイクロプロセサが堅調に推移するとともに,携帯機器向けCPUが著しい成長を遂げたという。2位の韓国Samsung Electronics Co.,Ltd.はメモリ市場のほとんどの分野を寡占しており,DRAM,SRAM,NAND型フラッシュ・メモリ市場において首位の座を維持している。

NAND型フラッシュ市場の日韓対決,成長率でHynixに軍配

 韓国Hynix Semiconductor,Inc.は23.4%と高い成長率を示し,今回,初めてトップ10入りを果たした。NAND型フラッシュ・メモリの売り上げが2004年の2億1200万米ドルに対して7倍以上となる15億米ドルに達する見込みだ。一方,同じくNAND型フラッシュを手掛ける東芝は,半導体全体の市場シェアで前年の7位から4位へ浮上したものの,成長率は9.0%にとどまった。


2005年の世界半導体市場シェア(右。左は2004年)

 Gartner社のResearch Vice PresidentであるAndrew Norwood氏は,半導体市場の動向について,「半導体市場の動向と消費者の支出パターンはますます密接に連動する傾向にある。携帯電話機など,取引先の電子機器メーカーが最終製品市場でシェアを失えば,半導体メーカーの業績にも多大な影響を与える」とみている。こうした背景から,同氏は半導体メーカーに対して「高成長の鍵は,急成長しているデバイス市場(NAND型フラッシュ・メモリ市場など)への参入,既存の市場におけるシェアの拡大,そしてシェアを伸ばしている電子機器メーカーとの良好な関係だ。最初の2つはメーカーが自ら管理できるが,3つ目は実現が難しい。消費者の好みに大きく左右される業界において,電子機器メーカーの成功の浮き沈みはより一層激しくなるからだ。こうした状況への唯一の対策は,特定の電子機器メーカーや市場に深入りし過ぎないことだろう」と提言している。