工学系研究科長の平尾公彦氏
 東京大学 大学院工学系研究科は2006年4月に「技術経営戦略学専攻」を設置する。主に製造業のCTO(最高技術責任者)やCEOになる人材を育てることを目的としたもの。「これまで本学の卒業生は企業において既存事業の運営に携わるケースが多かったが,今回の新専攻の卒業生には,新規事業を引っ張るような人材になってもらいたい」と東大側は狙いを話す。

 新専攻は東大大学院の既存の専攻と同等の扱いとし,2年生時に修士論文の発表と審査を行う。カリキュラムの3本柱は「技術開発学」「経営科学」「知的財産経営学」。専攻長に就任する六川修一教授は,「アイデアや知識を『技術』にしていくための技術開発学を柱に据えるところが他大学のMOT教育との相違点」と話す。技術開発のノウハウを中心とした授業を行うことで,経営学が重視されがちなこれまでのMOT教育と差異化を図る。

 初年度の入学試験は2006年2月20日~22日に実施する。定員は修士課程12名,博士課程6名。次年度以降は修士課程28名,博士課程16名の予定だ。試験科目は英語(TOEFL-ITP),専門科目の筆記試験/小論文,口述試験の3つ。「社会人にも挑戦してもらいたい。知識ではなく思考力を問う試験にするつもり」(六川氏)という。