米Avago Technologies,Inc.(以下,Avago社)は,米Agilent Technologies,Inc.からの分離手続きを完了し,新会社としてのビジネスを開始したと発表した。Agilent社半導体部品部門をすべて受け継いだAvago社の従業員数は6500名,2005年度の売上高の見通しは18億米ドルで,「非上場の半導体会社としては世界最大の規模」(同社)となる。

 Agilent社は,2005年8月15日に「計測器事業に注力する」(同社)などとして,同社の売り上げの25%を占めていた半導体部品部門の分離や,LEDの 米Lumileds Lighting,LLCとの資本関係の解消などを発表した。この半導体部門は,投資会社の米Kohlberg Kravis Roberts & Co.(KKR)と米Silver Lake Partners社に計26億6000万米ドルで買収され,Avago社が誕生した。

光学式マウス・センサは市場独占

 Avago社が手がけるのは,携帯電話機のCMOSセンサやLED,IrDAモジュール,通信機器やストレージ製品で利用する各種のASICやSoC(system on a chip),プリンタ用ASICや光学式マウス用センサなど。当面,工場を保有しないファブレスでいく方針で,製品の生産はシンガポールやマレーシアの会社に委託する。

 今後の方針の柱は「我々にとって重要な市場ではナンバーワンにこだわる」(同社日本法人 アバゴ・テクノロジー 代表取締役社長のマイク小池氏)というもの。Agilent社時代の実績は,「年間4億個と市場を独占している」(同氏)という光学式マウス・センサのほか,モバイル機器向け青色LED,信号機の赤色LEDや黄色LED,OA機器向け光学エンコーダ・モジュール,赤外線トランシーバ,フォトカプラ,RFフィルタICといった製品で世界シェア1位の売り上げを得ていたという。

 LEDでは従来資本関係のあったLumileds社と事業が重なるが,「今回のAgilent社の事業再編で,Lumileds社と我々の資本関係もなくなった。今後は1メーカーとして向き合っていく」(小池氏)とする。

 ちなみに,Avagoという社名は「ラテン語で,行く,または,すばやいという意味のvadereという単語と英語のgoを組み合わせて,俊敏に動くイメージを込めた言葉」(Avago社)という。