ディスプレイサーチの調べによると,2005年第3四半期の世界のテレビ出荷台数は対前年同期比2%増の約4360万台だったという。液晶テレビやPDPテレビ,リア・プロジェクション・テレビ(リアプロ)など単価の高い製品がシェアを拡大しているため,金額ベースの伸びは数量ベースの伸びを上回って,対前年同期比12%増の約191億米ドルに達した。テレビ全体の平均価格は前年同期から10%上昇して439米ドルとなっている。

 製品ブランド別の市場シェアは,金額ベース,台数ベースともにSamsungが首位に立った。SamsungはCRT,マイクロ・ディスプレイ方式リアプロ,CRT方式リアプロの各市場で出荷台数2位,PDPと液晶の両市場では3位と,総合的な強さを見せた。金額ベースの2位はPanasonicだ。台数ベースでは7位だが,平均単価の高いPDPテレビ市場に強みを持つため,出荷金額シェアは10%を超えている。

世界テレビ市場における技術別の台数シェアと金額シェア

 液晶テレビの出荷台数は対前年同期比156%増,過去最高の約550万台に達した。日本以外の全地域市場で直前四半期から44%以上の成長率を記録した。他地域に比べて液晶テレビの浸透率が高い日本では,成長率は1%程度にとどまっている。出荷金額は対前年同期比103%増の約65億米ドルだった。大画面機種がシェアを拡大しているため,平均単価は直前四前期を1%上回る1190米ドルとなっている。サイズ別の出荷台数シェアでは,32インチ型が初めて全地域市場でトップになった。世界市場でのシェアも21%から27%に上昇している。次に多いのは20インチ型で,これに僅差で26インチ型が続く。ブランド別ではSharpが出荷数シェア18%で首位を維持した。2位以下はPhilips/Magnavox,Samsung,Sony,LGEとなっている。

世界テレビ市場におけるブランド別の台数シェアと金額シェア

 PDP テレビも過去最高の出荷台数を記録した。9月以降の大幅な値下がりが出荷増につながり,対前年同期比143%増の約160万台に達した。平均単価は前年同期から32%下落して2057米ドルと過去最安値となっている。出荷金額は対前年同期比65%増の39億6千万米ドルとなった。PDP市場ではHDタイプが伸びており,世界市場では直前四半期の40%から47%にシェアを拡大した。サイズ別の成長率首位は50インチ型で直前四半期に対して89%増の出荷を記録,シェアは9%から12%に上昇している。ブランド別ではPanasonicがシェアを27%から29%に拡大,首位を堅持している。Panasonicは日本,北米,欧州の各地域市場でも首位を維持,また中国市場でもChanghongを抜いてトップに浮上した。

 マイクロ・ディスプレイ方式のリアプロの出荷台数も,過去最高の約63万4000台となった。技術別にみると,対前期比の成長率はLCOSが151%,DLPが66%, LCDが29%である。地域別の出荷台数シェアでは北米が88%を占めている。北米市場における出荷台数は前年同期から47%伸長している。ブランド別ではSonyが4四半期連続で台数,金額とも首位を維持している。ただし,台数シェアは直前四半期の36%から32%に下がっている。日本を除く全地域でSonyがトップに立っているが,日本ではEpsonがリードしている。

 CRTテレビの出荷台数は対前年同期比8%減の約3550万台だった。平均単価は前年同期から17%下落しており,出荷金額は対前年同期比24%減となった。ブランド別ではSamsungがLGEを抜いて首位に立った。2位はLGE,3位がTTE,Funaiは5位から4位に上がり,Philips/Magnavoxが5位に後退した。