三洋電機の経営陣は,2005年11月18日,中間決算の発表会場において,従業員の年収,および役員の報酬を削減することを明らかにした。課長以上の役職者は年収ベースで21~27%の大幅な賃金カット。それ以外の一般社員は,同じく年収ベースで平均5%の賃金を削減する計画。「本日労働組合に(この賃金削減の計画を)申し入れた」(同社の経営陣)。実施予定は2006年1月から。賃金カットの終了期間は現在のところ「未定」(同社)。
 
 同社は課長以上の役職者の賃金を,既に年収ベースで11~17%削減している。今後,同社はこれまで以上に大規模な構造改革を進める計画。従業員に大きな負担が掛かることが予想され,こうした賃金カットの実施により,従業員の士気の低下が懸念される。

前会長は「辞めない。無報酬で働く」


 同社経営陣によれば,役員の賃金カットは40~50%。詳細は明らかにしないものの,同社会長兼CEO(最高経営責任者)の野中ともよ氏は自らの報酬について触れ,「50%カットする」と語った。同社社長兼COO(最高執行責任者)の井植敏雅氏の報酬も50%となると見られる。

 一部報道で流れた,前会長で現在取締役会議長を務める,創業者の長男である井植敏氏の辞任については,同社の経営陣が明確に否定。構造改革のために働いてもらう必要があると語った。同氏の報酬カットは100%。井植敏雅氏は「(井植敏氏は)報酬を放棄してでも(構造改革を)やると語っている」と代弁した。