図◎「申し訳ない」とコメントする同社会長兼CEOの野中ともよ氏。東京会場は大阪会場からの中継発表となった。
図◎「申し訳ない」とコメントする同社会長兼CEOの野中ともよ氏。東京会場は大阪会場からの中継発表となった。
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 三洋電機は2005年11月18日,2005年度中間期(2005年4~9月)の連結決算を発表した。営業損益が265億円の赤字転落,最終損益は1425億円の赤字転落となった。同年9月28日に発表していた業績予想から,営業損益で215億円,最終損益で665億円と大きく下回り,同社の経営危機をさらに色濃く反映する結果となった。

 こうした結果を受け,冒頭に同社会長兼CEO(経営最高責任者)の野中ともよ氏が「ステークホルダー(利害関係者)に大変なご心配をお掛けして申し訳ない」と謝罪する異例の決算発表となった。(図)。

 売上高は1兆1874億円で,前年同期に対して6.2%減った。同じく前年同期比でみると,営業損益は654億円の悪化,最終損益は1459億円の悪化となった。

 売り上げでは,特に日本市場が不振。前年同期比で10.2%減の5820億円まで下がった。海外市場もさえず,売上高は前年同期比1.9%減の6054億円に終わった。

頼みの部品事業も売り上げ減少


 業績が悪化した最大の要因は,全体の44.3%と最も大きな売り上げを占めるAV機器や白物家電事業を抱えるコンシューマ部門。前年同期に対して,売上高は9.2%減の5628億円に落ち込んだ。営業損益は前年同期から291億円悪化し,120億円の営業赤字に転落した。デジタル家電で競合他社に売り負け,デジタルカメラや携帯電話機では価格下落に苦しんだ。

 コンシューマ部門に次いで業績の足を引っ張ったのが,全体の37.9%と2番目に売上高が多いコンポーネント部門。半導体や液晶パネル,電池などの事業を抱える部門で,売上高は前年同期比7.9%減の4500億円にまで落ちた。営業損益は,前年同期から294億円悪化して61億円の営業赤字に転落した。太陽電池やハイブリッド車用の2次電池の販売が好調だったものの,震災の影響を受けた半導体,価格下落が進んだ光ピックアップの販売が不調だった。液晶パネルは事業を再編したことで売り上げが減少した。

 業務用の冷熱機器事業を展開するコマーシャル部門は,業務用エアコンが海外市場で販売が好調で,前年同期に対して10.5%増の1176億円となった。だが,営業利益は19億円と,前年同期から2億円減っている。また,同部門の売上高は全体の10.5%と規模が小さい。

 今回の中間決算の発表に併せて,同社は2005年度通期(2006年3月期)の業績予想をさらに修正した。構造改革費用を積み増す影響などで,営業損益は170億円の赤字,最終損益は2330億円の赤字となる見込み。2005年9月28日の修正発表から,営業損益で350億円,最終損益で930億円と,改めて大幅に下方修正する。

 同社は今後構造改革を進め,「市場の信頼を回復していく」と同社社長兼COO(最高執行責任者)の井植敏雅氏は語った。

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