東芝の西田氏
東芝の西田氏
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 東芝 取締役 代表執行役社長の西田厚聰氏は,2005年10月27日に開催された「東京国際デジタル会議」で,SED燃料電池Cellなど同社が開発する将来技術を語った。

 同社は,SEDテレビを2007年に量産する予定にしている。液晶テレビやPDPテレビに対して遅れをとっているのではないかという指摘に対して「薄型テレビの競争はまだ前哨戦。2008年から2011年くらいが本格的な競争になる」として,決して参入時期が遅くはないという見解を改めて示した。

 画面サイズについては,50インチ型クラスから製品化を始め,その後40インチ型クラス以下にも品ぞろえを広げていく。この画面サイズでは競争がとても厳しいが,SEDでは30インチ型台でもすべて「フルHD」にできるなどとして,競争力を保てるとした。

量産は2008年を前倒しの可能性も


 世界最小サイズを実現した0.85インチ型のハード・ディスク装置(HDD)は,携帯電話機や携帯型情報機器(PDA)などの小型モバイル情報機器に積極的に採用するという。自社開発のHDD用製造装置を保有しており,生産性が高いという。

 電池については,各種携帯機器に向けて現在開発中の燃料電池(Tech-On!の関連記事)と,1分間で80%まで急速充電が可能なLiイオン2次電池を紹介した。燃料電池については,国連による規制緩和により,2007年くらいから普及が進むとの見通しを示した。東芝としては「2006年くらいからモノが作れるようにする。量産は2008年くらい,あるいはもっと前倒しになるかもしれない」(西田氏)とした。

技術力と経営力で健全な成長を


 同氏は「(メーカーの)基本は技術で,それが発展の原動力になる」とする。デジタル家電分野ではアジア勢などとの競争が厳しいが,コモデティ(大衆)化した製品に新しい価値を作り出す「脱・コモデティ」と,それをさらに大衆化するコモデティ化を間断なく続けることで健全な成長を狙うとする。ただし,商品開発するには技術だけでは十分ではなく,組織運営や経営力が問われるだろうとした。

 講演の最後には今期の業績にも触れた。半導体事業は減益になっているが,ほかのカンパニーが昨年よりもよくなっていると報告した。