富士通取締役専務(CFO)の小倉正道氏。
富士通取締役専務(CFO)の小倉正道氏。
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 富士通は,2005年度上半期(2005年4~9月)の連結決算を発表した。売上高は2兆1923億円,営業利益は475億円を計上し,前年同期の2兆2200億円,332億円と比べて減収ながら増益。LSIやパソコンといった分野での競争激化により売り上げが減ったものの,製造部門でのコストダウンなどにより営業利益が増えた。

 事業セグメント別に見ると,パソコンや携帯電話機,HDDなどを含む「ユビキタスプロダクトソリューション」部門は,売上高が4984億円,営業利益が166億円。前年同期と比べてそれぞれ3.5%(168億円),388%(132億円)増えた。営業利益率は3.3%と前年同期の0.7%から大幅に改善している。最終製品は,パソコンが減収となったものの,携帯電話機の売り上げが伸びている。さらに海外市場向けを中心にパソコンやサーバ向けのHDDも好調だった。利益面では,調達コストの見直しなど継続的なコストダウン策が機能しており,売り上げが伸びた携帯電話機やHDDで増益を達成したほか,減収のパソコンでも前年同期並みの利益を確保したという。

 ITシステム構築やソフトウエア製品などを含む「テクノロジーソリューション」部門は,売上高が1兆3440億円,営業利益が429億円。前年同期と比べてそれぞれ2.3%(302億円),118%(241億円)増えた。特に国内が伸び悩んでいるが,製造業に限っては「IT投資に積極的」〔同社取締役専務(CFO)の小倉正道氏〕。利益面では,2004年度から取り組んでいるリスクマネジメント体制の整備が進んだことで,不採算プロジェクトによる損失の発生を抑制できているのが増益に貢献しているという。

NOR型フラッシュの価格下落でデバイス部門は減収減益

 LSIと電子部品を含む「デバイスソリューション」部門は,売上高が対前年同期比21%減の3360億円,営業利益が同58%減の145億円(営業利益率4.3%)と減収減益となった(デバイスソリューション部門の第2四半期決算)。

 この部門の業績に大きく響いたのが,メモリー分野の主力製品である携帯電話機向けNOR型フラッシュ・メモリーの価格下落が継続していること。需要は引き続き大きく「(製造を担当する)米Spansion LLCの生産ラインはフル稼働状態」(同社)だが,価格下落を数量で補いきれておらず,売上高の減少につながったとする。2005年度第3四半期(2005年10~12月)以降,価格は徐々に回復に向かうと同社は見る。

 ロジック分野も,メモリーと同様に販売量は増加したものの価格が下落した。ただし,メモリーに比べると価格の下落幅は小さく,売上高は前年同期並みを確保した。この分野で誤算だったとするのが,同社三重工場内の300mmラインで2005年9月に量産を開始した90nm(hp130)世代品の受注の立ち上がりが遅れていること(Tech-On!関連記事)。今後,受注の伸びが本格化すれば「第3四半期以降は売上に貢献する」(同社)としている。

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