push-to-talkで会話中の画面
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902iの各機種には,PTTの発話時に用いる専用ボタン(下)が付いている
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ソニー・エリクソンなど6社が902iを投入する
ソニー・エリクソンなど6社が902iを投入する
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 NTTドコモは,第3世代携帯電話(3G)端末の新機種「FOMA 902iシリーズ」6機種を発表した。複数のユーザーの間でトランシーバのように音声を送受信する,いわゆるpush-to-talk(PTT)サービスに対応する機能を,国内の携帯電話機としては初めて備えた。2005年の年末商戦に向け順次発売する(発表資料)。

 PTTサービスは,接続している複数のユーザーのうち1人がボタンを押しながら発話すると,残りのユーザーの端末からその音声が聞こえるというものである。通常の音声通話と異なり1対多の通話ができるといった利点がある半面,発話と受話は同時にできない。

 PTTサービスは,米国において米Nextel Communications, Inc.(現Sprint Nextel社)が最初に手掛けたものである(Tech-On! 関連記事1)。元々MCA無線を拡張する方式で携帯電話サービスを提供していた同社が,物流業などを主な用途として一斉同報型の音声通話サービスを始めたのがキッカケである。法人を中心に同サービスが好評を博し,後に米Sprint Corp.や米Verizon Communications Inc.など競合の通信事業者も,一斉同報型の通話ができる機能を通常の携帯電話網を用いて構築しサービスを展開した。

 こうした動向をにらみ,NTTドコモも早くからPTTサービスの実現に向けて水面下で検討を進めていた。同社 代表取締役社長の中村維夫氏は2004年6月の社長就任後の初会見において「大いに関心を持っており,やりたいと考えている」と発言していた(Tech-On! 関連記事2)。

利用料,1押し5.25円または月額1050円

 今回,NTTドコモはPTTサービスを「プッシュトーク」という名称で展開する。あらかじめ端末に登録してあるアドレス帳から1人~4人の通話相手を指定し,対応端末に付いている専用のボタンで呼び出し,接続を確立する。

 NTTドコモのサービスはSprint社やVerizon社と同様に,通常の携帯電話網を用いて一斉同報型のサービスを構築したものである。音声データの伝送にパケット通信網を使用するので,接続の確立に時間がかかるほか,音声の伝達に2秒前後の遅延が発生する。

 プッシュトークの利用料金は,従量制と定額制の2種類がある。従量制の場合,接続確立後に発話ボタンを1回押し,ユーザーが発話者になるごとに5.25円かかる。受話については無料である。発話回数にかかわらず月額1050円の定額制もある。

 このほか,法人向けサービス「プッシュトークプラス」を用意する。同サービスでは最大20人の同時接続が可能なほか,「通話可能」「離席中」など個々のユーザーの状態を表示するプレゼンス機能が利用できる。同サービスは定額制のみで,月額2100円となる。

 製品発表会においてNTTドコモ 執行役員 プロダクト&サービス本部 マルチメディアサービス部長の夏野剛氏は「法人向けサービスが大半である海外のPTTサービスに対し,当社のサービスでは少人数のグループでも使えるような,新たなサービスを目指した」と意気込みを語った。通常の音声通話との棲み分けについては,「最近では,いわゆる『帰るコール』をするユーザーは減ってきているだろう。こうした用途でもプッシュトークなら気軽に利用できる。新たな需要を喚起できれば,仮に1対1の通話であっても通常の音声通話との差異化は可能と考えている」との見通しを示した。

902iは6機種,ソニー・エリクソンも発売

 「FOMA 902iシリーズ」は,三菱電機製の「D902i」,富士通製の「F902i」,NEC製の「N902i」,パナソニック モバイルコミュニケーションズ製の「P902i」,シャープ製の「SH902i」,ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製の「SO902i」の6機種から成る。ソニー・エリクソンがNTTドコモ向けに3G端末を出荷するのは,今回のSO902iが初めてとなる。同製品はいわゆるストレート型の端末である。318万画素のカメラ・モジュール,非接触型ICカード「FeliCa」機能などを内蔵しながらも,102gと軽いのが特徴である。