トヨタ自動車とホンダは、国土交通省が北海道の寒地試験道路で開催した「ASV-3」の公開実験で、それぞれ試験車両を展示した。

 両社ともに、車車間通信を用いて事故を未然に防ごうという取り組みは同じだが、トヨタは分かりやすい音声案内を、ホンダは軽いブレーキをかけて直感的に危険を認識できるようにするなど、両社それぞれの視点で安全性の向上を狙った。

 トヨタ自動車がこだわったのは、多くのクルマが連なっている場合の音声案内。「単にクルマがきていますという情報ではなく、クルマの影に隠れてバイクがいるのかどうかも伝えることで、実際の状況に近い情報をドライバーに伝えるよう意識した」(担当者)。

 例えば交差点で右折しようとした場合に、対向車線からバイクとクルマが連なって走行していれば、クルマだけでなくバイクが接近していることを音声案内する。「他社のように“クルマが接近している”という案内だけでは、ドライバーは一台だけを見て安心して右にハンドルを切ってしまう可能性がある。特にバイクは見落としやすいのでクルマとは分けて案内した」(同氏)。


図1◎トヨタ自動車の車両。


図2◎トヨタ自動車の車両。カーナビ画面に周囲のクルマをアイコンで表示する。

 トヨタ自動車は、計算処理を軽くするために、アルゴリズムも工夫した。今回の実験では、各車が0.1秒ごとにGPSの位置情報やウインカーの作動状態などの車両情報を周囲の他車に送信している。実際に使用するシーンでは、一度に100台のクルマを検出する場合もあるが、こうした時にぶつかる危険性の高いクルマを瞬時に選別できるようにした。具体的には、クルマの進行方向やエリアでフィルターをかけて危険性の高い車を絞り込んでいるという。