旭硝子は,被覆材やフィルム原料として使うフッ素樹脂「フルオンETFE」の生産設備を,英ランカシャー州に拠点をおく旭硝子フロロポリマーズU.K内に設置する。2006年1月に着工し,翌2007年1月に建設が完了する予定だ。投資額は約30億円。この投資によって同社のETFE生産能力は,約20%増える見通し。

 同社は現在,千葉工場(千葉県市原市)と鹿島工場(茨城県神栖市)でETFEを生産しており,両工場での生産量は,世界需要の半分以上を占める。さらに鹿島工場では増産工事を実施し,2005年9月に稼働を始めた。しかし,自動車や建材用との需要が急増しているため,ETFEの供給体制は逼迫(ひっぱく)しているという。中でも,欧州での市場が急激に拡大していることから,英国でも生産することにした。

 さらに同社は,生産設備の新設と併せて,旭硝子フロロポリマーズU.K内へのテクニカルサービスセンター設置も決めた。ETFEを含むメルトフッ素樹脂を扱い,このセンターを通して,現地における営業活動の強化を図る。

 ETFEは,エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体。熱可塑性のため成形加工しやすく,耐薬品性や電気絶縁性,耐候性が高いのが特徴だ。自動車や航空機,ロボットに使用する電線の被覆材,液体輸送チューブなどに用いる。