図 東芝 上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長の藤井美英氏
図 東芝 上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長の藤井美英氏
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 東芝は,2005年9月28日に開催した「東芝映像新商品発表会」において,。SEDテレビやHD DVDの導入時期,携帯型音楽プレーヤの今後の戦略などを明らかにしたSEDテレビについては「コミットメントとして公言していた2005年度中」(同社 上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長の藤井美英氏),つまり2006年3月までに50インチ型を超える品種をまず国内市場に投入する。「AV機器は,販売する時期が肝心」(同氏)なので,同社とキヤノンのパネル製造合弁会社「SED」に対してはSEDテレビの製品化が2005年度中に間に合うようにパネルの提供をお願いしているという。同社が発表した新型液晶テレビ「Z1000」シリーズの画像処理エンジン「メタブレイン・プロ」はSEDパネルとの組み合わせを念頭において開発したものであり,SEDパネルの受け入れ準備は着々と進んでいる(Tech-On!関連記事1Tech-On!関連記事2)。

 50インチ型以下の品種については,2006年度に40インチ型台のSEDテレビを発売する予定である。上位機種はSEDテレビ,主力機種は液晶テレビと位置付ける。30インチ型台についてはSEDテレビを投入せず,液晶テレビでラインアップを構築するという。

 海外市場でのSEDテレビの展開については,米国を中心に国内市場投入よりも1四半期~2四半期遅れで50インチ型級の品種を投入する。東芝は国内市場ではSEDテレビと液晶テレビで製品ラインアップを整えるが,海外市場では50インチ型を超える薄型テレビ市場はSEDテレビやリアプロのほか,PDPテレビをそろえる。40インチ型以下の品種については,海外市場では液晶テレビだけで製品ラインアップを構成する。「PDPテレビは値ごろ感がある。50インチ型市場をSEDテレビ以外でも攻めてみたい」(同社の藤井氏)という。

HD DVDプレーヤの国内投入はあくまで年内を目指す

 HD DVD関連では今後,3つの製品投入を控えている。HD DVDプレーヤ,HD DVDレコーダ,HD DVD装置を内蔵したノート・パソコンである。このうちHD DVDプレーヤについては,著作権保護方式である「AACS」の策定が遅れているといった事情があるものの,国内ではこれまでの宣言通り2005年内に投入したいとの意向を改めて示した。米国については,ハリウッドのスタジオと協議中で,国内よりも少し遅れて2006年2月~3月の投入になるのではないかとの感触を語った。

 レコーダはドイツ・ワールド・カップ開催前に当たる2006年5月~6月には発売したいという。HD DVD装置を搭載したノート・パソコンの投入は2006年の1月~3月になる見込み。HD DVD装置は,開発元である東芝サムスン ストレージ・テクノロジー(TSST)が2005年12月までに東芝のパソコン事業部に収める手はずになっているという。

本命は地デジ対応のgigabeat

 「gigabeat」に代表される東芝の携帯型音楽プレーヤ事業については,地上デジタル放送対応といった映像機能の充実や,生産台数を増やすためのOEM供給,フラッシュ・メモリ搭載品の製品化の検討を進めている。同社の携帯型音楽プレーヤ事業は現在,利益があまり上がっていないという。しかしながら,事業を縮小することはないようだ。「なぜ儲からないgigabeatを手掛けているのか。それは,地上デジタル放送などを受信して映し出せる機能を備えた品種がgigabeatの本命と考えているからだ」(同社の藤井氏)と,その将来性に期待を寄せる。携帯型音楽プレーヤの競いどころは,音楽再生機能だけでなく,近いうちにテレビといった映像を取り扱えるかどうかになるとみる。携帯型音楽プレーヤ市場では米Apple Computer,Inc.の「iPod」が好調だが,地上デジタル放送対応品となると「Apple社がそう簡単に出せない」(同氏)と踏む。

 フラッシュ・メモリ搭載品については,近々発表するもようである。「消費者のニーズは多様化している」(東芝の藤井氏)ため,テレビ機能といったハイエンド機だけでなく,音楽再生だけの安価な品種も製品ラインアップにそろえる。ただし,フラッシュ・メモリ搭載品を同社は積極的に市場展開することはしないようだ。フラッシュ・メモリ搭載品は「もうすぐ1台4000円~5000円になる。これでは儲からない」(同氏)という。