Bluetoothや無線LANのLSIのメーカーである英CSR PLCは,Bluetoothの次期仕様「Bluetooth 2.1」に対応したLSI「BlueCore5」を開発した(発表資料)。同社にとって第5世代となるBluetoothのLSIとなる。MP3などの音楽データの伝送機能を大幅に強化したほか,FMチューナ機能もLSIに搭載するなど,多機能化をさらに進めている。

 今回,開発したLSIは,同社としては初めてとなるFMの受信機能を持つ「BlueCore5-FM」,各種の音楽データの復号化や,音声認識機能などを強化した「BlueCore5-MM(multimedia)」,携帯電話機などへの組み込みを目指して低コストを追求した「BlueCore5-ROM」の3種類である。BlueCore5-ROMは2005年第4四半期,BlueCore5-MMや同FMは2006年明けにサンプル出荷を開始する。

 これらは,2006年前半に仕様が固まる予定のBluetooth 2.1を先取りしたLSIである。Bluetooth 2.0からの主な変更点は,(1)ペアリング操作の簡単化,(2)オーディオ性能の強化,(3)セキュリティの強化,などである。今後,Bluetooth 2.1の仕様に変更があっても,ファームウエアの更新などで対応可能だという。

 (2)のオーディオ性能の強化に関して,BlueCore5-MMでは特に多くの機能を加えている。具体的には,MP3,AAC,WMA3,ATRACの音楽データ形式に対応した。また,3Dサラウンド・ステレオ機能も備えた。音声認識機能や「CVC(clear voice capture)」と呼ぶ,人の声を雑音から聞き分けるためのエコー・キャンセル&雑音低減機能も備えた。

 さらに,音楽データの伝送方式も大きく変更した。従来は,MP3の音楽データを聴く際は,MP3からアナログ・データに変換し,次にSBC(sub band codec)と呼ぶBluetooth用コーデックに変換して伝送していた。今回のBlueCore5-MMでは,MP3データを直接伝送できるようにして,音質の劣化やデータ変換に伴う消費電力のロスを一掃した。この結果,音楽を聴いている際のBlueCore5-MMの消費電力は60mW。CSRの従来製品BlueCore3-MMの95mWと比べて3割超の省電力になった,という。