空間分割多元接続(SDMA)の概要(KDDIの講演資料から)
空間分割多元接続(SDMA)の概要(KDDIの講演資料から)
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を試作し,両者の特性を比較した。フィールド試験は2GHz帯で実施した。(KDDIの講演資料から)
を試作し,両者の特性を比較した。フィールド試験は2GHz帯で実施した。(KDDIの講演資料から)
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第4世代移動体通信の適用先として検討されている4GHz帯に向けた円形アレー・アンテナを試作し,到来方向推定システムを評価した。2GHz帯と同等のアンテナ性能を確保できたとする。(KDDIの講演資料から)
第4世代移動体通信の適用先として検討されている4GHz帯に向けた円形アレー・アンテナを試作し,到来方向推定システムを評価した。2GHz帯と同等のアンテナ性能を確保できたとする。(KDDIの講演資料から)
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 KDDIは,第4世代移動体通信システム(4G)への適用を視野に入れる無線アクセス技術の研究開発成果を,2005年9月20日から開催中の「電子情報通信学会 ソサイエティ大会」で発表した。空間分割多元接続(SDMA)技術によって通信容量の増大を狙う取り組みである。複数メーカーと共同でSDMA技術に基づくアンテナや通信装置を試作し,フィールド試験などを通してSDMAが通信容量の増大に有用であると実証した(講演番号:B-1-187)。「次世代の無線通信技術としてMIMO技術が話題だが,SDMAもセル当たりのスループット向上の有力な手段になる」(KDDI)とする。

 SDMAはアレー・アンテナを使って送信ビーム制御を行う送信ビームの指向性を制御することで,同一周波数を使いながら複数ユーザーの収容を可能にする。KDDIらはSDMAとOFDM変調を組み合わせた場合のスループット特性をシミュレーションで評価した。周波数を4GHz帯,帯域幅を73MHz幅としたところ,1.2Gビット/秒のセル・スループットが得られたという。送信レベルや位相の変動についてはフィールド実験の結果を利用した。

 フィールド実験には,2GHz帯のCDMA2000 1x EVDOの基地局とアレー・アンテナをベースに作成した試作機を活用した。ビーム制御した際の伝播特性や,ビーム間干渉の影響の程度,高速移動の追従特性などを評価した。

 SDMA技術が適用を狙う4Gは,2010年以降の実用化に向けて各社が現在取り組んでいる。KDDIらはNICTの委託研究の一部としてSDMAの研究開発に取り組んできた。委託研究は2001年から始まり,2003年までに試作機の作成や室内における評価を実施しており,このたびフィールド試験につながった。屋外におけるSDMA技術の大規模なフィールド試験の結果報告は,今回が初めてという。