専務執行役の佐藤行弘氏
 三菱電機は2005年度(2005年4月~2006年3月)の業績予想を上方修正した(PDF形式の発表資料)。2004年度決算を発表した際に公表した予測では(Tech-On!関連記事),連結売上高3兆4500億円,当期純利益750億円としていたが,売上高は3兆4600億円へ,純利益は830億円へ,それぞれ引き上げた。

 修正の主因は,同社の売上比率の約2割を占める産業メカトロニクス分野の売り上げが期初の計画を100億円上回ったこと。国内外の旺盛な設備投資を受けてFA機器の売り上げが増し,これが営業利益でも70億円分のプラス要因になった。さらに重電システムや情報通信システム,電子デバイス,家庭電器の分野においても,営業利益が当初の計画を上回る見通しだ。生産性の向上や原価低減などの施策が奏功したとしている。

下期のルネサスは「リスク要因」

 ただし,この上方修正はあくまで上期の好調を中間期決算に反映させ,そのまま通期にも加算したものであって,下期に対する見通しは決して楽観的なものではない。記者説明会に臨んだ同社専務執行役の佐藤行弘氏は,「ルネサス テクノロジから,下期に向けて事業環境が厳しくなっていると聞いている。具体的な数値がまだ出ないため,現時点で修正はしないが,下期業績のリスク要因になることは間違いない」と話した。同社はこのほか,原油価格の高騰や鋼材などの値上げが相次ぐなど,資材の調達環境が厳しくなっていること,米国経済が低調であること,為替が円高に振れる可能性などを,下期のリスク要因に挙げた。上方修正の説明会ではあったが,「努力を要する」「ハードルが高い」など,事業環境の厳しさを物語る言葉が多く聞かれた。