図 電波干渉発生を指摘する展示会主催者の説明文
図 電波干渉発生を指摘する展示会主催者の説明文
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 自動認識総合展では,数社がUHF帯無線タグを用いて,ダンボール箱に入ったワイシャツなどの管理やレジでの一括精算,ネットワーク・カメラと組み合わせた人の入退場の管理などの実演を行っている(Tech-On!の関連記事)。ところが,関係者によれば準備日の2005年9月13日の時点で大きな問題に直面したという。それは,各社がそれぞれ勝手にシステムのデモンストレーションを行うと,無線タグ・システム間の干渉が予想以上に深刻に発生して,一部のデモが滞ることが判明したのである。

 このため,UHF機器出展社協議会および日本自動認識システム協会(JAISA) RFID部会は9月14日,UHF帯無線タグ機器の出展者に対して「UHF機器の干渉について」とする異例の説明文を配布した(図)。

 説明文では「本年4月に許可されたUHF帯電波割り当てでは,近くに複数のリーダー/ライターがある場合でも問題なく動作する技術(共用化条件)が入っておらず近くに他のリーダー/ライターが存在していないことを前提としております。今回の展示会場では14社がUHFシステムを出展しております。近接して電波を発射しており,結果的に電波干渉が発生しています」としている。

 共用化技術は現在,総務省が仕様を策定中で,2005年8月26日にパブリック・コメントの受け付けを終えたばかり。2005年末までには,正式仕様が固まる見込みである。現在,候補になっている技術は,無線LANにも備わっている「キャリヤ・センス(LBT:listen before talk」や,「ミラーサブキャリア」と呼ぶリーダー/ライターが発射する電波と無線タグが応答する電波で周波数を変える方式などである。

 ある出展者は「多くのUHF帯無線タグ・システムがこれだけ近接して使われたケースはこれまでなかったはず。この展示会が,共用化技術が必要不可欠であることを図らずも証明してしまった」と,共用化技術の重要性を指摘した。

 今回の説明文では,解決策として出展者間で協議して,デモの時間を互いにずらす「タイムシェア」方式で,電波干渉を防ぐことにしたとする。