デジタル・カメラは,ブランドで見ても生産しているメーカーで見ても日本のシェアが高い。2004年の日本メーカーの生産シェアは,84.2%と圧倒的だ(図)。ただし,この状況はいつまでも続くものではなさそうだ。現実に台湾メーカーの足音が既に背後に迫ってきている。

図●デジタル・カメラの日本メーカー生産比率の推移(2004年までは実績,2005年以降は予測)

台湾メーカーが参入すると価格暴落

 台湾メーカーが参入したことで,価格が暴落した電子機器は枚挙にいとまがない。代表的な製品だけでも,パソコン用マザーボード,ノート・パソコン,CD-ROMドライブなど光ディスク装置,キーボード,スキャナに上る。そして,次のターゲットはデジタル・カメラだ。

 台湾メーカーは,常にビジネス・チャンスをうかがい,儲かると判断すると一気に投資して参入してくる。まるで示し合わせたように各社とも同じタイミングで同じ市場を目指す。その結果,参入メーカーが多過ぎて,供給過剰になり,価格が暴落,メーカーは淘汰され,適当なメーカー数に落ち着く。このような台湾メーカーのビジネス・モデル(?)に泣かされた日本メーカーは多い。

いずれは日本をキャッチアップ

 台湾メーカーのデジタル・カメラ生産がじわりと増えてきた。2005年の世界のデジタル・カメラ生産に占める日本メーカーの比率は対前年比6.5ポイント減の77.7%になる。日本以外の地域のメーカーに生産が流れている。韓国メーカーなども含まれるが,ほとんどが台湾メーカーと見てよい。

 台湾メーカーでは中国の工場を利用して安く生産できることから,日本メーカーがOEM委託するケースが目立ち始めた。日本メーカーから生産を受託することで,台湾メーカーはデジタル・カメラ生産のノウハウを蓄積し始めている。光学系の装置は日本メーカーが強いとよく言われるが,次第に台湾メーカーが力をつけてくる。前述した台湾メーカーのビジネス・モデルのサイクルに巻き込まれるのも時間の問題ではないだろうか。