決算発表に臨むNTTドコモ 代表取締役社長の中村維夫氏
決算発表に臨むNTTドコモ 代表取締役社長の中村維夫氏
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 NTTドコモの2005年4月~6月期連結決算は,売上高が1兆1871億円(対前年同期比3%減),営業利益が2876億円(同4%増),税引前利益が3534億円(同28%増),純利益が2079億円(同22%増)の減収増益となった(発表資料)。上半期,通期の業績見通しに変更はない。

 減収の原因は,端末の販売台数減少や「ファミリー割引」の拡充に伴う通話料収入の減少など。一方で,売上高に連動する販売費・一般管理費の低減や物件費の圧縮,1契約当たりの月間平均通話時間(MOU)の増加などにより,収益性が改善した。英Hutchison 3G UK Ltd.の株式売却益620億円を税引前損益ベースで計上したため,税引前利益と純利益が大幅に増加した。

 解約率は2005年1月~3月期に1%を切り0.96%となったが,今回さらに低下し0.80%となった。「10代や20代をはじめ,あらゆる年齢層で解約率が低下している。これまでに打ち出してきた料金施策が受け入れられたことや,多くの種類の端末を発売したことで選択の幅が広がったことなどが背景にあるのではないか」(同社 代表取締役社長の中村維夫氏)。国際電話を含む1契約当たりの月間平均収入(ARPU)は,前年同期の7420円に対し今回は6940円だった。

 設備投資は2107億円で,うちW-CDMA方式の「FOMA」関連に1422億円を投じた。大半をFOMAの基地局設置に振り向けたとしている。FOMAの基地局数は屋外が1万7500,屋内が4100。2006年3月末までに屋外で2万3600局,屋内で5500局体制とする計画である。2005年6月には800MHz帯の電波を使用するFOMA基地局の運用を始め,これまでに700局を設置している。

料金プランを一新,30秒単位の課金体系に

 決算発表と併せて同社は,2005年11月1日に新たな料金プランを始めると発表した(発表資料)。FOMAとPDC方式「mova」の音声通話が対象となる。現行の料金プランの申し込みは2005年10月末で終了する。既に現行の料金プランを適用しているユーザーには,料金プランを自ら変更しない限り2005年11月以降も同一の料金プランが適用される。

 主な変更点は,(1)FOMAとmovaの料金体系を共通化する,(2)NTTドコモの携帯電話機,他社の携帯電話機,固定電話,PHS,IP電話といった通話先の電話の種類にかかわらず同一の通話料を適用する,(3)通話料の課金単位を30秒当たりに統一する,(4)1年単位で契約する代わりに基本使用料を割引する「いちねん割引」の割引率を引き上げる,(5)月額利用額が一定以上に達した場合に割引する「ボリュームディスカウント」を廃止する,など。

 新たな料金プランの導入に伴う業績面での影響については,「若干の持ち出しになると考えている。2006年度に新料金プランの利用者が全体の8割に達したと仮定して,100億円程度の減収要因になる」(中村氏)とみている。

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