会見後に握手を交わすNTTドコモの夏野氏,JR東日本の見並氏,NTTデータの柳衛氏(左から)
会見後に握手を交わすNTTドコモの夏野氏,JR東日本の見並氏,NTTデータの柳衛氏(左から)
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 「駅ナカから今度は駅の外へ」(JR東日本 取締役IT事業本部長の見並陽一氏)。

 JR東日本が「Suica電子マネー」の利用拡大に乗り出した。2005年7月28日に発表した内容は2つある。1つは,NTTドコモと共同で推進する決済インフラの構築に関するもの。具体的には,「おサイフケータイ」のクレジット・カード機能とSuica電子マネーを共用できるリーダ/ライタの仕様を策定し,両者の決済を振り分ける「共通利用センター(仮称)」を構築・運営することである。

 リーダ/ライタの仕様を共通化することで,個別にリーダ/ライタを開発して設置する場合に比べて販売店の設置スペースを抑えることのほか,リーダ/ライタのコストが下がることを期待する。「リーダ/ライタは,発注量によって価格が大きく変わる。マーケットが大きいと分かれば,安くなる」(NTTドコモ 執行役員 マルチメディアサービス部長の夏野 剛氏)。

 NTTドコモは,おサイフケータイの中に電子マネーだけでなく,クレジット・カード機能も搭載しようとしている。今回の提携はその足がかりになる。携帯電話機内のクレジット・カード情報を読み取ることができるリーダ/ライタの設置をNTTドコモが単体で進めるには,リスクや負担が大きすぎる。そこでJR東日本の協力をとりつけ,短期間での普及を図る。

 電子マネー・サービスには,Suica電子マネーのほかに,NTTドコモも出資するビットワレットの「Edy」がある。ただし,ビットワレットはすでに全国にリーダ/ライタを設置している。それに対して,JR東日本はまさに「駅ナカから街ナカ」に広げようというところ。両社の投資タイミングが合ったということだろう。

 もう1つの取り組みが,Suica電子マネー導入企業への投資に関するもので,NTTドコモおよびNTTデータと推進する。3社が4億円ずつ,合計12億円を出資して組合を設立,店舗などにSuica電子マネーの対応機器を導入する企業に資金面で支援する。具体的には,端末費用やシステム開発費などに充てるもので,導入企業からはSuicaによる決済額に応じて手数料を徴収する。組合組織は,2005年8月に施行予定のLLP(有限責任事業組合)法を活用するという。LLP法を採用するのは,組合組織のほうが迅速な決定が下せるからだとした。

 28日の会見では,Suica電子マネーの最新の利用状況や今後の目標についても報告した。現在,1日当たりのトランザクションは12万件に達しており,当面200万件を目標にするとした。2008年度には400万件まで増やしたいという。

店頭でのリーダ/ライタの共用化を図る
店頭でのリーダ/ライタの共用化を図る
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Suica電子マネーは,2008年度に1日400万件のトランザクションを目指す
Suica電子マネーは,2008年度に1日400万件のトランザクションを目指す
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