2005年度第1四半期の決算説明する代表取締役副社長の木村登志男氏
2005年度第1四半期の決算説明する代表取締役副社長の木村登志男氏
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 セイコーエプソンは,2005年度第1四半期(2005年4月1日~同年6月30日)の決算を発表した(発表資料)。売上高は前年同期比2.2%増の3401億3600万円ながら,営業利益は前年同期の327億3300万円から大きく後退し,377億7400万円減の50億4100万円の損失となった。電子デバイス事業,情報関連事業とも価格下落の影響を受けて苦戦した。情報関連事業の営業利益は,前年同期比71.5%減の42億5700万円にとどまった。電子デバイス事業の営業利益は56億9600万円の損失。2004年度第4四半期の121億円の損失に比べれば半減したものの,数量減や価格低下が響いた。

 情報関連事業は,情報画像事業がドットマトリックスプリンタや,スキャナ,シングルファンクション・プリンタの数量減や低価格化で減収だったが,映像機器事業はリアプロジェクションテレビが好調なほか,液晶プロジェクタもビジネス向けが増加し大幅な増収。全体としては減収だったものの,営業利益は確保できた。

 電子デバイス事業では,ディスプレイ事業は液晶プロジェクター用の高温ポリシリコンTFTパネルの数量が減って大幅な減収となったほか,携帯電話向け液晶ディスプレイも価格下落で減収。しかし,アモルファスシリコンおよび低温ポリシリコンのTFT液晶ディスプレイの販売を開始したことで全体としては増収となった。一方,半導体事業は大幅な減収となった。電子デバイス事業全体としては,一部のディスプレイでの減収や,アモルファスシリコンTFT液晶ディスプレイの製造コストが下がりきっていないこと,2005年4月に稼働開始した千歳事業所のコストがかさんだことなどから減益となった。

 ただし,今後半導体や携帯電話機向けの液晶ディスプレイの需要が伸びると想定しており,電子デバイス事業は当初計画よりも早く業績回復すると見込んでいる。しかし,インクジェット・プリンタは,日本や米国では好調なものの,欧州やアジアでの競争激化や価格低下で情報関連機器事業が苦戦すると予想している。このため,2005年度の上期利益は当初計画を下回る見込みとなった。

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